「議員を非難しないで」沖縄県議クラスター、医師があえて語る理由


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■識者談話・徳田安春氏

 先島地域で市中感染が広がっている中であり、クラスター(感染者集団)の発生の可能性は県内のどこにでもある。感染対策を十分取っていたかどうか確認が必要だが、室内で行動を共にしているだけでも感染の恐れがある。新型コロナウイルスは飛沫(ひまつ)感染や接触感染だけでなく、空気感染もするので、閉め切った部屋では距離を取っていても感染リスクがある。

 高齢で基礎疾患のある議員もいるかもしれないので、重症化に気を付けて療養をしっかり取ってほしい。そしてまた県民のために仕事をしてほしい。感染拡大防止に向け、ホットスポットでのサーベイランス検査を拡充するなどの積極的な感染予防対策を取ってもらいたい。

 一方、感染した議員を非難してはいけない。非難は感染隠しにつながる。このウイルスは無症状の感染者から感染が広がるので、個人の努力のみでは限界がある。むしろ、個人の責任に任せる戦略自体を見直すべきだろう。これ以上の外出自粛や営業自粛を行うと経済への影響が深刻になる。

 今回の集団感染を機に、県は検査態勢を拡充すべきだ。人口当たりの感染者数が突出している中、県はこの2カ月間、新しい戦略を打ち出していない。成功している地域や国々からの知恵を学び、検査を拡充し、経済活動を止めない戦略を打ち出すように県議会も働き掛けるべきだろう。

 (群星沖縄臨床研修センター長・総合診療)