電子申告の利便性と危険性 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[182]


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モバイルプリンス

 

私ごとで恐縮ですが、15日に沖縄国税事務所から「スマート申告納税大使」【※1】に任命されました。

大人になるといろいろな税金を払わなければいけないね。その金額を計算するために「確定申告」を毎年行います。

今までは税務署などに行って申告する人が多かったため、行列ができていました。

しかしこれからは新型コロナウイルス感染対策として、スマホを使った確定申告を使っていきましょうということで任命されました。

 

※1 スマート申告 … スマートフォンで行う確定申告のこと。2019年1月からスタート。スマート申告を行うためには、マイナンバーカードとIC読み取りに対応したスマートフォンか、税務署で発行されるID・パスワードが必要になります。

 

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こうしたデジタル化・スマホでの手続きが進むのは確定申告だけではないんだ。

9月に発足した菅政権では「デジタル庁」を2021年に創設する予定で、さまざまな行政手続きをデジタル化していくように動いている。

これによって、役所に行かないとできなかった手続きがスマホで完結するなど、どんどん便利になることが期待されるよ。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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その一方で、手続きのデジタル化が進むということは、私たちのデータや行動履歴などが行政側に集まっていく【※2】ことになります。

極端な話、行政と敵対する人の手続きを一瞬で止めたりするなど、独裁国家のようなことができてしまうわけです。行政側は、今まで以上に公平性・透明性が求められます。

私も、スマート申告納税大使として便利さを伝えるだけでなく、引き続き行政に対して透明性・公平性を求めていきたいと思います。

 

※2 データや行動履歴などが集まる … これは行政だけでなく、Google・フェイスブック・ツイッターなどの大手IT企業、あるいは日本のLINE、ソーシャルゲームの会社、通信会社にも当てはまります。便利さの裏側にはリスクがついてきます。ただ便利さを追求するのではなく、その後ろにある大きな構造に対する警戒心も必要です。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/