美ら島財団が収入6割減 理事会で初の借り入れ案承認 美ら海水族館、首里城を管理


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沖縄美ら海水族館

 新型コロナウイルスの影響で県内への観光客数が大幅に落ち込んだことにより、「沖縄美ら海水族館」と「首里城公園」の指定管理を受ける一般財団法人「沖縄美ら島財団」(花城良廣理事長)の事業収入が、2020年度当初計画より6割減となっていることが27日、財団への取材で分かった。同日、那覇市で臨時理事会を開催し、20年度中に運転資金が不足する場合に備え、金融機関からの融資の許可を求める議案など2件をそれぞれ全会一致で承認を得た。

 財団の年間事業収入は130億円規模のため、70億円程度の収入の落ち込みが見込まれている。12年に現在の美ら島財団が発足して以降、借り入れ許可を求める議案の提案は初めて。借り入れする場合は少なくとも数億円以上になる。

 雇用調整助成金などの支援策を活用し、現在約650人の雇用体制は維持するという。財団は20年度の職員の定期昇給をやめ、理事らも報酬を減額する。毎年2月に開催する「沖縄国際洋蘭博覧会」は中止を決めた。財団によると、花城理事長は理事会で「コロナ禍でも組織の維持と雇用継続を第一に考えていく」と述べたという。

 19年10月の首里城火災により有料区域が今年6月まで開園できなかったことや、新型コロナの感染拡大による観光客の減少や緊急事態宣言に伴って水族館を休園したことが大きく響いた。19年度決算は、1976年に発足した前身の海洋博覧会記念公園管理財団を含め初めての赤字だったが、2020年度決算も2期連続の赤字となる見通し。

 理事会では減額した収入分の補正予算議案も承認を得た。理事会は非公開で、財団は決算見込みの詳細額は公表していない。

 一方、県が公表する各指定管理者への収支報告によると、美ら海水族館も含む「海洋博公園」全体の19年度収支は4264万円の赤字だった。昨年8月以降の日韓関係の悪化による外国人観光客の減少や、年明けからの新型コロナの感染拡大が要因とした。

 首里城公園は火災の影響で有料区域が開園できなかったことが響いて19年度収支は2億9991万円の赤字だった。