「首里城と芸能」文献で学ぶ 150年前のからくり花火も再現 国立劇場、復興願い講座


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再現されたからくり花火「双龍」=20日(国立劇場おきなわ提供)

 国立劇場おきなわは同劇場で13と20の両日、首里城復興を祈念する公演記録鑑賞と講座「首里城と芸能」を開催した。13日は首里城を舞台にした史劇の映像上映と、史劇と史実の両観点からの講座をし、20日は、約150年前に製作されたからくり花火「双龍」の実演と花火についての講座などがあった。参加者は、芸能と文献を通して首里城で育まれた琉球文化を学んだ。

 13日は、1879年の琉球最後の国王・尚泰王が首里城を退去した出来事「首里城明け渡し」の歴史的背景を県立博物館・美術館の田名真之館長が講義した。また、伝統組踊保存会の眞境名正憲会長が同日抜粋上映した、1974年上映の史劇「首里城明け渡し」(1930年初演、山里永吉作)について解説した。

 山里氏と生前交流があった眞境名会長は、作品が「琉球見聞録」と尚順男爵との交流から構想が生まれたというエピソードを紹介した。また、伊良波尹吉をはじめとする当時の名優による台本のうちなーぐち訳に、山里氏が感心しきりだったことを振り返った。

 眞境名会長は「初演は、廃藩置県から50年しかたっていない頃で『首里城明け渡し』を体験した方も多くいた。インパクトがあったと思う」と話した。

史劇「首里城明け渡し」について話す眞境名正憲氏(中央)と田名真之氏(左)、司会の茂木仁史氏=13日、浦添市の国立劇場おきなわ(同劇場提供)

 20日は、昨年10月の復元公演での「執心鐘入」の映像上映と、1866年の尚泰冊封のために製作されたからくり花火「双龍」の再現、花火についての講座があった。

 すみだ郷土文化資料館の福澤徹三学芸員が「江戸の花火」について話し、県立芸術大学の麻生伸一准教授による琉球王府の花火職人についての講座、国立劇場おきなわ調査養成課の茂木仁史課長による講座「琉球の花火」があった。

 茂木課長は「双龍」について点火後、雨のような噴水型の花火や琉球の国王を意味する四つ爪の龍などが現れることに触れ「琉球王が秩序ある世界に恵みの雨や太陽をもたらし、琉球国をますます繁栄させる壮大な作品になっている」と自らの解釈を話した。

 からくり花火「双龍」は期間限定で映像配信している。詳細は劇場ホームページhttps://www.nt-okinawa.or.jp/topics-list/2020-05-14-08-20-7