観光支援3カ国 防疫対策や経費支援策を共有 スペインなど駐日大使が報告<ツーリズムEXPOフォーラム>


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「ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典in沖縄」で、会場内の人数をリアルタイムで把握するために、入場する人のパスのQRコードを読み取るスタッフら=29日、宜野湾市の宜野湾市立多目的運動場

 29日から11月1日まで、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターを主会場に開催される「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典in沖縄」には、国内外285の企業、団体が出展する。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立たされる観光の復活に向け、新しい旅の形やイベント開催の在り方を模索する。初日はフィリピンのベルナデット・ロムロ・プヤット観光大臣、沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長がコロナ禍の現状と課題について基調講演し、フォーラムでは各国の駐日大使がそれぞれの観光振興の取り組みを報告した。

 29日に始まったツーリズムEXPOは、場内の人数をリアルタイムで把握して密を避けるなど、新型コロナウイルス感染防止対策をした上で実施されている。世界的にもMICE(国際会議や展示・博覧会、報奨旅行など)の中止を余儀なくされてきた中で、ウィズコロナ時代の大規模イベントのモデルケースとしても注目が集まっている。出展者、来場者からは「安心感があって良い」と対策を評価する声が上がった。

 前回までは名刺を出せば自由に入場できたが、今回は出展者や関係者も含めて、会場に出入りするたびに所持しているパスのQRコードを、スタッフがスマートフォンで読み込んだ。入退場をリアルタイムで把握することで、会場内の人数が国のイベント開催基準を超えないようにするためだ。

 29日は展示会が午後3時開始だったこともあり入場制限はかからなかった。一方で、スマホによって読み込み時間が異なり、待機列がやや「密」になる場面もあった。

 例年、展示会場内では各地の特産品の試食、試飲や、旅行を呼び掛けるチラシの配布などでにぎわっていたというが、今年は感染防止で規定が厳しくなったこともあり、様子が変わった。試食や試飲をさせるブースは少なくなり、チラシやパンフレットも手渡しせず、置いてあるものを来場者が持って行く形式になった。

 特産品のタマネギつかみ取りをする兵庫県淡路島の洲本市は、挑戦者にビニール手袋を必ず着用してもらうようにした。洲本市役所の赤松良魅力創生課課長補佐は「感染の不安があると客足が減ってしまうので、主催者が対策を徹底してくれるのはありがたい」と話した。

 対策強化は出展者からも好評だ。三輪タクシー「トゥクトゥク」を展示して注目を集めたタイ国政府観光庁の冨松寛考マーケティングマネージャーは「正直開催できるのかと心配していた。今後のモデルケースになるイベントなので、対策強化は安心感を確保するためにも必要だ」と話した。

 ケニア共和国大使館の菅井河奈子ツーリズムアシスタントは「沖縄の人にアプローチする機会がなかなかないので、ケニアを知ってもらいたい。オンラインにシフトしているが、直接接して空気を味わってもらうことが大切なので、対策を頑張ってリアルで開催してくれたのは大きい」と話した。

 一方で、バイヤーとして会場を訪れた旅行会社の男性は、入退場を把握するシステムなど対策自体は評価した上で「コロナで海外の観光地が来られないので仕方ないが、出展がかなり少ない。感染防止はもちろん必要だけど、もっと規模を大きくしないと来る意義が薄くなる」と話した。