首里城再生へ作業本格化 「見せる復興」展示室も公開


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首里城火災から1年。「見せる復興」へと見学コースが設けられ、再建に向けて動き出した首里城=30日午前、那覇市の首里城公園(小型無人機で撮影)

 首里城が火災で焼失して31日で1年となった。2026年度の正殿復元に向け、首里城では30日も再建に向けた大龍柱の修復作業などが進められた。県と国、沖縄美ら島財団は「見せる復興」の一環で首里城復興展示室、世誇殿の大型映像設備の一般公開を31日から始める。同日から首里城祭や復興イベントもめじろ押しで、再建への機運は一気に高まっている。

 30日夕に首里城公園内を訪れた玉城デニー知事は、首里城復興展示室や大龍柱の補修作業などを視察した。正殿の再建に向けて「移り変わる首里城を県民や全国の皆さんに見ていただけるよう、引き続き国や関係機関と連携して取り組んでいきたい」と話した。

 首里城の火災を巡っては、出火元は電気系統設備が集中していた正殿北東側とみられているが、原因は分かっていない。防火対策の課題が浮かび上がったことから、再建される建物にはスプリンクラーの設置や配水管の敷設が計画されている。火災で建物だけでなく、美術工芸品も焼失したことを踏まえ、収蔵庫を城郭外に整備することも検討している。

 再建に向け、国は城郭内の国営沖縄記念公園首里城地区内にある、火災で焼失した正殿などの建造物の復元を進める。20年度中に正殿の基本設計を完了し、22年度着工、26年度の完成を目指している。県は「首里城復興基本方針」を策定し、首里城を中核とした周辺のまちづくり、御茶屋御殿や中城御殿、円覚寺の復元計画を盛り込んだ。

 首里城に注目が集まる中、戦時中に地下に掘られた第32軍司令部壕の保存・公開を求める声は盛り上がり、正殿の大龍柱の向きについて、市民の意見を聴き議論するよう求める声も上がっている。