沖縄美ら島財団、コロナ拡大で苦境 臨時休園や観光客激減 県に財政支援申し入れへ


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再建に向けて動き出した首里城=10月30日(小型無人機で撮影)

 首里城公園の指定管理を県から受けている沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた臨時休園や観光客の激減で苦境に陥っている。財団は指定管理業務の基本協定書に基づいて首里城公園と海洋博公園の管理者の県に対し、近く財政支援の協議を申し入れる予定だ。県は協定書にのっとって対応するが、観光客減に伴う経営不振が長引くと県財政からの穴埋めも想定されるとする。

 財団の2020年度事業収入は当初計画より6割減の見通し。財団の年間事業収入は130億円規模のため、70億円程度の収入の落ち込みが想定されている。首里城については火災保険に加入しているので、これから一部の営業補償が受けられる。

 財団は国有財産の使用料として、19年度は海洋博公園で約5億円、首里城公園で約1億7600万円を県へ支払った。そのほか大規模修繕に備えるための納付金として約8億5千万円も支出する。ただ首里城火災よりも新型コロナの感染拡大による県の緊急事態宣言を受けた美ら海水族館の臨時休園などが収入減の要因のため、使用料や納付金の減免や猶予を県に求める方針だ。

 一方、県は財団と協議後、国との協定に基づいて管理委託料の減免などを求める考え。ただ今後も財団の経営不振が続くと、県財政から穴埋めせざるを得なくなる可能性もある。

 県都市公園課の高嶺賢巳課長は「大規模修繕の納付金を減免すると県基金が少なくなり、急に修繕が必要な場合には県が負担する必要が出てくるかもしれない。財団から協議の申し入れが正式にあれば、財政的なことも含めてどう対応できるか検討したい」と話した。一方、内閣府国営沖縄記念公園事務所の森口俊宏所長は、県との今後の協議について「県との協定にのっとって淡々と対応したい」と述べた。