来春の全国高校野球選抜大会(春の甲子園)出場校選考の参考資料となる、秋季九州大会(第147回九州地区大会)第3日は3日、長崎県営野球場(長崎ビッグNスタジアム)などで準々決勝4試合が行われた。具志川商(沖縄2位)は福岡大大濠(福岡1位)と対戦し、0―3で敗れた。選抜大会出場の目安となる4強入りはならなかった。このほか、明豊(大分1位)が6―4で神村学園(鹿児島1位)に、大崎(長崎1位)が3―2で延岡学園(宮崎2位)、宮崎商(宮崎1位)が9―3で東明館(佐賀1位)に勝利し、準決勝進出を決めた。準決勝は5日に同球場で行われる。
◆「諦めない姿勢」貫く 奮闘も好機に一打なく
九州初出場の具志川商は、福岡大大濠のエース左腕に散発5安打で完封負け。好機をものにできないことが続いても、ナインが1点への執念を捨てることはなかった。喜舎場正太監督は「最後まで思い切りできた」と奮闘に誇らしげだった。
「思い切り振ってけ、諦めるなよ」と、誰よりも大きな声で鼓舞し続けた粟國陸斗主将。応えるようにそれぞれが思い切りの良いスイングを見せた。積極的な走塁もあり指揮官は守備も含めて「決して(内容は)負けていない」と語る。
慣れない人工芝の打球の速さに三回の守りで失策をしたセカンドの島袋大地は裏の回、「気持ちで打った」と挽回の左越え二塁打で出塁。生還はできなかったが「諦めない姿勢を貫けた」。目を赤くしつつこの日2安打とバットで貢献したことを誇った。
福岡大大濠は出塁すると犠打や単打で進塁し、着実に加点。具志川商は7イニングで得点圏に進めたが、本塁を踏めなかった。粟國主将は「好機での適時打が出なかったのは自分たちの弱さ。また一からはい上がりたい」。センバツを目指した経験を糧に、聖地を目指す“挑戦者”として、夏へと歩み出す。
(上江洲真梨子)
◆新川連続完投 真のエースに
九州大会で初めてエースナンバーを背負った新川俊介が真のエースへと進化した。2試合連続で完投し、準々決勝ではこれまでの自己最速138キロを上回る140キロ超を記録。連戦での疲労をおくびにも出さず「力があまり入らない分、気持ちで投げた」としなやかな腕の振りを生かし、打者に立ち向かっていった。
この日は被安打7の与四球2、8奪三振。喜舎場正太監督は「完投の仕方、要所での配球など大きく成長した一人」と目を細める。新川は夏の甲子園出場を目指し「初回の立ち上がりの課題が明確になった。この経験が自信になる」と冬のトレーニングを経てさらなる大成を誓う。
▽準々決勝
福岡大大濠
110 000 100|3
000 000 000|0
具志川商
(福)毛利―川上
(具)新川―比嘉
▽三塁打 古川(福)
▽二塁打 島袋、高良(以上具)
【評】具志川商は得点圏にたびたび走者を送ったが、好機に打線をつなげることができなかった。持ち味の機動力を生かし、ヒットエンドランや積極的な走塁で相手守備陣にプレッシャーを掛けたが及ばなかった。
個々の成長見られた
敗戦を糧に夏の躍進を誓う喜舎場正太監督 大会を通じ、チームとしての団結力が高まり個々の成長も見られた。最後まで得点に対する積極的な姿勢があった。この悔しい思いを夏にどう生かすかが重要だ。ここからがスタートなので自信を持って沖縄に帰りたい。