LCT爆発、悲劇伝える 1948年伊江島波止場 住民ら107人犠牲 那覇、8日まで写真展


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1948年8月6日に起こった伊江島米軍LCT爆発事件の写真などを展示した「沖縄の縮図 伊江島の記録と記憶PartⅡ」。父親を事故で亡くした主和津ジミーさんは多くの来場を呼び掛けている=4日、那覇市久茂地の那覇市民ギャラリー

 米統治下の1948年8月6日、伊江島の波止場で起こった米軍爆弾処理船(LCT)爆発事件の写真を紹介した展示会「沖縄の縮図 伊江島の記録と記憶PartⅡ」が8日まで那覇市民ギャラリーで開催されている。生々しい事故の被害の写真など約60点を展示している。太平洋戦争の降伏手続きを担う日本の降伏調印使節団を乗せて、45年8月19日に経由地の伊江島に飛来した「緑十字機」の記録もある。入場無料。

 LCT事件は、沖縄戦時の未使用弾125トンをLCTに積む作業中、荷崩れを起こし、爆弾が船ごと爆発した事故。住民ら107人が死亡し、100人以上が重軽傷を負った。

 今回の会場では、事件で父親を亡くした嘉手納基地第18航空団ヘリテージリーダー、主和津(シュワルツ)ジミーさん(80)=旧名・幸地達夫=が当時の状況を説明している。父親の良一さん(享年35)は当時、米軍の通訳の仕事をしていたが、この日港にいたため巻き込まれた。当時7歳のジミーさんは海水浴をしている時、爆発音に驚き、現場に駆け付けた。

 ジミーさんは「母親らが引いていたリヤカーに、頭や手や足がない父親の姿があった」と当時を振り返り声を落とした。ジミーさんは当時の事故の様子を伝えるスケッチを見ながら「当時の状況が思い出される。多くの県民に事件のことを知ってほしい」と話した。

 伊江村の宮里徳成村教育長は「展示会が平和を発信する一助になればうれしい」と話した。展示会は沖縄アジア国際平和芸術祭2020(すでぃる、同祭実行委員会主催、琉球新報社など共催)の関連イベント。7日午後1時からパレット市民劇場で同展示会関連のシンポジウムがある。