大接戦の米大統領選 沖縄の経済界はどう見る?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 まれに見る大接戦となっている米大統領選挙。新型コロナウイルス感染症の影響が各国の経済を大きく停滞させている中で、経済大国アメリカのリーダーに誰が就くかは、今後の世界経済の行方にも大きな影響を及ぼすことが予想される。県内の経済関係者も高い関心を持って開票の行方を見守っており、早期決着や勝敗確定後の円満な解決を求める声が上がった。

 県内在住の米国人経営者などでつくる在沖米国商工会議所の佐久田トニー会頭は「経済人としては、どちらが大統領になったとしても新型コロナウイルスを乗り越えて経済をもう一度動かすことを求めたい」と話した。選挙結果によっては法廷闘争に突入する事態も予想されているが、「どちらが勝っても、相手をたたえて平和で円満に終わることを願っている」と米国社会の分断回避を求めた。

 県アジア経済戦略構想推進・検証委員会の安里昌利委員長(那覇空港ビルディング社長)は、投票日から丸1日以上経過しても結果が確定しないことについて「独特な歴史的経緯があってこうした展開になっていると思う。長期化する可能性もある」と見通した。ただ、結果の確定が長期化すれば株価や為替に影響する可能性もあることから「沖縄への直接の経済的な影響は少ないが、いずれにしても早く決まってもらわないと、マーケット(市場)が安定しない」と早期決着を求めた。

 トランプ政権下で、米国と中国は互いに報復関税をエスカレートさせ、貿易摩擦によって世界経済は減速した。中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁強化など、特にIT技術を巡る米中の覇権争いは激しさを増している。沖縄ITイノベーション戦略センターの稲垣純一理事長は「どちらが当選しても、デジタルトランスフォーメーション(DX)のような大きなトレンドは変わらない」と断言。その上で「新たな大統領には、協調性のあるより良い社会づくりをしてもらいたい」と望んだ。

 沖縄の基幹産業の観光は、感染症の影響でかつてない危機に陥っている。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「自分の立場ではコメントすることは難しい」とした上で、「米国だけでなく世界中で共通して言えることだが、早期に新型コロナウイルスを収束させて国際観光を進めて行くことが最重要課題だ」と話した。