米大統領選混乱「分断すぐ解決しない」「中台緊張も」沖縄県系人ら懸念


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 米大統領選は開票が始まってから丸3日、いまだに勝敗が決まらない異例の事態が続いている。トランプ大統領、バイデン前副大統領いずれの陣営支持者も勝利を疑わず、米各地では暴動も警戒されるなど不穏な空気も流れる。在米県人や米国在住歴のある県民からは対立や分断の余波を懸念する声が上がる。

 開票作業が続く中、米社会の分断は一層顕著になった。ハワイ沖縄連合会元会長で弁護士の県系2世、エドワード・久場さんは米国社会の分断が進んでいる状況について「バイデン氏が当選したら、トラブルを起こすために支持者をあおり立てるのはやめるようトランプ氏に求めてほしい」と話し、早期の混乱収束を望んだ。

 米カリフォルニア大バークレー校博士で、沖縄市照屋にある「コザ×ミクストピア研究室」代表の池原えりこさんは、トランプ大統領就任以降の4年間で、人種やジェンダーなどの社会問題に対する差別が助長されてきたと指摘する。民主党のバイデン氏がリードするが「バイデン氏が大統領になっても根深い問題はすぐには解決しないだろう」と慎重な見方をする一方で、「表面的には収められるかもしれない」と話した。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)職員で、米首都ワシントンのシンクタンクで勤務経験のある下地邦拓さん(30)は「どちらが勝っても米国が二分された状況は残る。世界の警察と呼ばれる米国が内政にフォーカスしなければならなくなる」と指摘する。

 米国の海外に対するプレゼンスが低下することで、中国の動きが活発になることを懸念し「コロナで落ち込んだ経済が戻ろうとしている時に中台関係が緊張すれば、沖縄経済は大変なことになる。安全保障も含め、沖縄と台湾が積極的に連携していくことが求められる」と話した。