那覇で伊江島LCT爆発事件シンポ 体験者「夢つぶした」


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伊江島米軍LCT爆発事件当時の状況を語る元伊江村長の島袋清徳さん=7日午後、那覇市久茂地のパレット市民劇場

 米軍統治下の1948年8月6日、伊江島の波止場で起こった米軍爆弾処理船(LCT)爆発事件や太平洋戦争の降伏手続きを担うため、45年8月19日に経由地の伊江島に飛来した「緑十字機」に関するシンポジウムが7日、那覇市民ギャラリーで行われた。爆発事件と「緑十字機」について、若い世代が語り継ぎ、平和への思いを共有していくことを確認した。

 LCT事件は、沖縄戦時の未使用弾125トンをLCTに積む作業中、爆弾が船ごと爆発した事故。住民ら107人が死亡した。

 当時11歳で事件に遭遇した、元村長の島袋清徳さん(83)は「悪夢のような一日で忘れられない。波止場一帯でうめき声がして人が右往左往していた」と声を震わせた。

 その上で「大きな事故で片付けたくはない。激戦で痛めつけられた村民は本島に移動させられ、収容生活を耐え抜いた。島に戻って立ち上がろうとした矢先の事件で夢や希望も押しつぶされた。二度とあってはならない。事件を県民が共有し語り続けてほしい」と求めた。

 石原昌家沖縄国際大名誉教授、島袋和幸伊江島米軍LCT爆発事件8・6の会会長、渡久地政雄伊江島緑十字機を語る会会長らが登壇した。

 シンポジウムは、8日まで那覇市民ギャラリーで開催している展示会「沖縄の縮図 伊江島の記録と記憶PartⅡ」の一環で沖縄アジア国際平和芸術祭2020(すでぃる、同祭実行委員会主催、琉球新報社など共催)の関連イベント。