泡消火剤流出半年 PFASの指針下回る 10月採水、宇地泊川46分の1に


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 【宜野湾】有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を含んだ大量の泡消火剤が、4月10日に米軍普天間飛行場から基地外に流出した問題で、琉球新報は事故から半年後の10月10日に宜野湾市周辺の水を採取し、京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)に分析を依頼した。事故直後は高濃度だったPFOSとPFOAの合計値は、5月調査に続いて国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を下回った。

 泡が大量に滞留した宇地泊川は4月調査で、PFOSとPFOAの合計値が1リットル当たり最大247.2ナノグラムを記録したが、今回の調査は同5.4ナノグラムと約46分の1に減少した。基地からの排水が地下排水溝を通り川に合流する地点は、同50.0ナノグラムから約10分の1の同5.2ナノグラムとなった。

 牧港漁港や宇地泊川上流も4月の同30.2~41.0ナノグラムから、同3.0~4.1ナノグラムに減少している。原田准教授は「半年がたち、事故当初の影響はなくなったのだろう」と分析する。

 今回の調査では、大雨が降った10月22日に普天間飛行場の排水路周辺でも採水して濃度を調べたところ、同13・7ナノグラムと下流より高い値が検出された。

 また、PFOSやPFOAの代替物質として使用され、有害性が不明な「6:2FTS」やPFHxS、PFHxAなども、前回調査より値は低くなっているが、いずれの地点でも検出が続いている。

 原田准教授はPFASが検出されていることに「事故以前から地下水などに汚染があるとみられる」と指摘し、引き続き関係機関による調査や分析、今後の対策の必要性を強調した。
  (金良孝矢)