「古里にこだわる」を合言葉に32年 同人誌「談笑」24号 目指せ地域の交流誌


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
コロナ禍の影響で4カ月ぶりに開いた10月の例会。積もった話題で文字通り談笑のひとときに=10月21日、沖縄市のデイゴホテル

 【沖縄】「古里を愛し、古里にこだわる」を合言葉に、沖縄市で年に1度同人誌「談笑」を発行する談笑会。24号の足跡を重ね、地域で根強いファンを広げている。

 談笑会は1989年、故人となった元美里村長・中村哲二郎さん、元沖縄市文化協会長・青山洋二さん、元県副知事・屋部博さん、元警察署長・石川逢光さんと、元中学校長・伊佐真徳さん、それに現在編集長を務めている元新聞記者・喜友名朝夫さん(81)が発起人。集まれば談論風発、文芸談義が尽きない6人が意気投合し、95年に「談笑」が産声をあげた。

 現在は会員11人、会友5人が毎月の例会に集い、近況報告や創作活動などの苦労話などを熱く語り合う。「談笑への作品発表が生きがいにもなっている」と異口同音に話す。

 会員の職歴は多士済々だけに「談笑」には、それぞれの分野に造詣の深い知見と人生経験に裏打ちされたエッセーや小説、歴史物語、時には地域に提言する研究論文などの作品が詰まっている。また琉歌、和歌、俳句、川柳などが紙面をソフトに包み込み、寄稿作品も随時掲載することで読者を増やしている。

 年1回発行の「談笑」は休刊したことはない。毎回1500部の発行は同人誌としては異例の多さで、中部地区の有名書店に並ぶ。

 コロナ禍の影響で10月の例会は4カ月ぶりとなった。仲宗根喜栄会長(89)は「地域の交流誌を目指してきた談笑が来年は25周年の節目を迎える。会の歴史も30年余。会員の初心と変わらないやる気とたゆまない努力の結晶であり、誇りに思う」とあいさつした。

 会発足時の唯一のメンバーとなった喜友名編集長は「会員の生きざまや人生の機微に触れた内容が読者に支えられているのではないか」と述べ、25周年記念号の編さんに向け決意を新たにしていた。
(岸本健通信員)