女性同士の出会いをお手伝い 「性的少数者の力に」 専用サイト立ち上げた恩河さんの思い


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レズビアンなど性的少数者の女性らの出会いを支援する専用サイト「Rainbow connection(レインボー・コネクション)」

 レズビアンなど性的少数者の女性らの出会いを支援する専用サイトを元看護師の恩河祐美さん(34)=八重瀬町=が立ち上げた。恩河さんはいわゆる「ストレート」で夫と子どもがいる。「自分は当事者ではないが、困っている女性の力になりたい」。サイト運営に専念するために看護師として勤めていた医療機関を辞めた。悪戦苦闘しながらも、ゼロから始めたこの仕事にやりがいを感じている。

 きっかけは単純だった。自身が婚活をしていて、出会いの場を生み出すことに興味が湧き、仕事にしたいと考えた。そんな時に、レズビアンなど女性の性的少数者の出会いの場が限られていることを知った。

 しかも、出会いを求めるレズビアンの掲示板やアプリでは、男性が女性になりすまして登録することがあり、実際に対面すると暴力を振るわれたという話も聞いた。「安心して出会えるようにしたい」。自ら専用サイトを作ることにした。

レズビアンら性的少数者の女性らの出会いを支援する専用婚活サイトを立ち上げた恩河祐美さん=10月30日、八重瀬町

 性的少数者についての知識はほとんどなく、準備を進める中で関係者らから話を聞き、ゲイやレズビアン、トランスジェンダー、バイセクシュアルなど多様であることを知った。5月に看護師を辞め、パソコン教室に通い、7月にサイト「Rainbow connection(レインボー・コネクション)」を立ち上げた。

 冷やかしなどがないように(1)オンラインで無料相談(2)会員登録(3)相手探し(4)オンラインのデート(5)お見合い―と段階を踏むようにし、全てに恩河さんが一緒に関わるようにした。

 「レズビアンって本当にいるの?」。当初は周囲から、そんな声を掛けられた。だが運営を始めると、問い合わせメールがひっきりなしに届いた。「女性に少し興味がある」という女性からの連絡もあり、ニーズがあることも実感した。会員は少しずつ増えて全国にも広がる。1年で会員100人を目指す。

 一方、サイトはデートは有料だが、会費などはなく、採算性は低い。恩河さんは「正直、厳しい」と苦笑いする。今後は安定的に運営するため、料金システムを改善したり、活動に賛同する人からクラウドファンディングで資金を募ったりする計画で試行錯誤は続く。

 恩河さんは「性的少数者に対する社会の理解がもっと深まるように取り組んでいきたい。今後はウエディングも手掛けたい」と目標を描いている。

 恩河さんが運営するサイト「Rainbow connection」はこちら

(仲村良太)