「家賃支援給付金」申請で相次ぐ差し戻し どのガイドライン使う? 国と市で認識にずれ


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総務省が作った家賃支援給付金の審査に関するガイドライン

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業者の家賃負担を軽減する国の「家賃支援給付金」について、那覇市の第一牧志公設市場を使用する事業者が市のガイドラインに沿って申請したが、審査するコールセンターから「総務省のガイドラインに沿うように」と差し戻される事例があった。どのガイドラインを使うか、国と市で認識が一致していなかったためだ。

 家賃支援給付金は行政機関が使用許可を出す建物の使用料も対象となる。中小企業庁のマニュアルでは、使用許可を出す行政機関が審査に用いるガイドラインを作成し、国に提出した上で使用できるとした。一方、総務省も地方自治体が使用許可を出す建物に関するガイドラインを作っており、実際はほとんどの自治体がそれを使っている。

 那覇市は、所管する公設市場の事業者向けにガイドラインを作り、事業者が出す申請書類に添付させた。だが同市場組合の粟国智光組合長によると、「総務省のガイドラインに沿うように」と申請を差し戻される事例が10月後半から10件近くあったという。

 市の担当者は「自治体の施設は総務省の所管外」と指摘し、総務省のガイドラインが優先されることに疑問を呈する。中小企業庁の担当者は「各自治体がガイドラインを作ったら相当な数と手間になるので、総務省のガイドラインを使ってもらっている」と話した。

 那覇市と国が10月末に協議した結果、市のガイドラインを正式なガイドラインとして認めないが、必要な書類がそろっていれば審査を通すことになった。だが粟国組合長によると、協議後もコールセンターから差し戻されることがあり、現場への周知に時間を要しているようだ。粟国組合長は「家賃は事業者にとって大きな問題だ。行政間でもっと密に連携してほしい」と求めた。
 (伊佐尚記)