【深掘り】下地幹郎氏の復党巡り 自民と経済界、攻防が激化 執行部は板挟み


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下地幹郎氏の自民党復党を念頭に経済界から集められた「保守合同」を求める署名

 自民党に復党願を提出した下地幹郎氏の処遇を巡り、復党を求める経済界の一部と、復党に反対する県連所属議員との攻防が激しさを増している。長年にわたって県連を支えてきた経済界の重鎮と、復党反対を強く訴える所属議員との板挟みとなる県連執行部が、下地氏の復党問題をどう決着させるかが焦点となる。今後の方向性次第では蜜月関係だった自民党と経済界の分裂も避けられない事態となりそうだ。

 「下地氏の復党を前提に保守合同という格好だ。署名で同意を得ている」。経済界有志が県連に提出した「保守合同」を求める署名について、2年前の知事選で自民県連が立ち上げた候補者選考委員会の委員長を務めた国場組の国場幸一会長は12日の会見で、署名で訴えた保守合同は下地氏の復党ありきであることを繰り返し主張した。

 今回集まった署名は那覇市を中心に県内全域から集めたもので、文書の冒頭には「沖縄県の未来をつくる『保守合同』にご賛同ください」と書かれているが、下地氏の名前は書かれていない。そのため、復党に反対する議員からは今回の署名活動について当初から「目くらましの署名だ」との批判が相次いでいた。

 県連1区支部幹事長代理の粟国彰那覇市議は12日、提出された署名について「保守合同を求める署名が、いつの間にか下地氏を復党させる文書に化けた」と批判した。

 ただ、署名の中身に関係なく1カ月程度で1万2428筆の署名が集まったことに活動を主導した経済界メンバーは自信をのぞかせる。関係者の一人は「県連はわれわれの意向を無視できない。下地氏が復党すれば比例票も割れない。友党である公明にもメリットがある」と指摘する。
(吉田健一)