初の良助役、玉城匠の好演が光る 名作「丘の一本松」 逆境生かす演出も


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子
スー(左・嘉数道彦)の本音を知り涙する良助(玉城匠)=3日、北谷町のちゃたんニライセンターカナイホール

 大伸座(大宜見しょうこ代表)の沖縄芝居「丘の一本松」(大宜見小太郎作)が3日、北谷町のちゃたんニライセンターカナイホールであった。初の良助役に抜てきされた玉城匠の好演が光った。

 「丘の一本松」は親子の絆を描いた沖縄芝居の名作。スー役は嘉数道彦、近年良助役を務める金城真次は医者を演じた。冒頭の親子げんかの場面、村人役として裏方を登場させて早速、会場を沸かせた。
 嘉数と玉城、アンマー役の座喜味米子、ツル子役の知念亜希が、息の合った掛け合いで観客を物語の世界へと引き込んだ。金城や老婆役の吉田妙子が登場すると拍手が起こるなど、見巧者の観客も共に舞台を盛り上げた。

老馬をけなす馬ばくまちゃー(中央・宇座仁一)の言葉を、自分と重ねてぼうぜんとするスー(左・嘉数)。スーの様子を心配するアンマー(座喜味米子)

 冒頭の舞踊4題の間には、金城としょうこ代表の「ゆんたく」もあった。金城は小太郎作品について「どれも面白く、演じていても、見ていても面白い」と話した。
 新型コロナウイルス感染症の予防のために行った幕あいの換気では、地謡の城間雄伍が独唱を披露した。劇中に登場する馬にマスクを着けるなど、逆境を生かした演出で観客を楽しませた。

 しょうこ代表は「お客さまの笑顔を見て、舞台があることが、出演者やお客さまの気力にもつながると感じた。エンターテインメントを止めてはいけないと気付かされた」と好演を振り返った。

(藤村謙吾)