「私たちも沖縄戦を語り継ぐ」「尊敬する大先輩」 映画「GAMA」モデル・安里要江さん死去


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自身の戦争体験の話をする安里要江さん=2016年8月18日、北中城村喜舎場

 沖縄戦の語り部で映画「GAMA 月桃の花」のモデルとなった安里要江さんが亡くなったことを受け、交流のあった人々は「ガマでの悲惨な実態を明らかにした」とたたえ「私たちも沖縄戦を語り継いでいく」と誓った。

 沖縄市平和ガイドネットワーク代表世話人の森根昇さん(79)は「轟の壕での日本軍の残虐な行為を初めて証言した人だ。安里さんを亡くし、これから沖縄戦を語り継ぐことに不安もあるが、私たちも頑張る」と決意を新たにした。

 安里さんは「GAMA―」のパンフレットに「ガマの暗闇の中では娘の死に顔を見ることすらできない。骨と皮だけの体をいつまでもなでまわした。その感触を忘れないように、二度とこんな悲惨なことが繰り返されないように私の体験を伝える」とのコメントを寄せた。映画の製作と音楽を担当した音楽家の海勢頭豊さん(76)は「もっと子どもたちに映画を見せて安里さんのことを伝えたい」と話した。

 安里さんが結成当初から共同代表を務めた第9条の会・沖縄うまんちゅの会事務局の源河直子さん(79)は「話を聞きたいと頼まれるとどんな人でも受け入れて丁寧に話し、誰からも信頼された。尊敬する大先輩だった」と惜しんだ。

 元喜舎場公民館長の安里昌栄さん(86)は共に反戦運動や地域活動に取り組んできた。戦後、幼児教育に熱心だった安里さんについて「子どもを戦争で亡くした経験から『教育を基盤に立て直していく』という気概を持って活動した」とたたえた。