情報の偏りに注意 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[185]


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モバイルプリンス

 

2020年のアメリカ大統領選挙ではデマや陰謀論【※1】が大きな話題となりました。

SNSサイトのツイッターは、投票に影響する誤情報の拡散を防ぐため、リツイート(転送)機能の操作手順を増やすなどの対策を行いました。

選挙後も誤情報に対して「警告」というラベルを出すなどしています。

デマや陰謀論が選挙で問題視されるのは、アメリカに限った話ではありません。

16年のイギリスEU離脱を問う国民投票、18年の沖縄県知事選挙、今月1日に行われた大阪の住民投票でもデマや誤情報がSNSなどで飛び交いました。

 

※1 陰謀論 … 事実に基づかない情報をもとに「世界を支配しているのはあいつらだ」という壮大な陰謀ストーリーを作り上げること。最初は「都市伝説」や「オカルト」などの「作り話」として楽しんでいたとしても、ネットやSNSのさまざまな仕組みと組み合わさり、本気で信じるようになっていきます。

 

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こうしたデマ・誤情報・陰謀論が広がる背景には、ネットやSNSの特性「フィルターバブル」【※2】が影響していると言われています。

気になる商品をネットで検索するとその商品の広告が出てくるようになります。

同じように、私たちが調べた政治ニュースをネットやSNSが分析し、似た傾向の情報をどんどん出すようになるのです。

その結果、見ているものが偏り、間違った情報を信じやすくなるということですね。

 

※2 フィルターバブル … ネット上のさまざまなフィルターにより、偏った情報しか届かなくなる現象のこと。例えばYouTubeで特定アーティストの動画をたくさん見ていると、関連動画に似たアーティストのビデオのおすすめばかりが出てきます。こうして、聞く音楽のジャンルが偏るように、政治的な意見などもフィルターバブルによって徐々に偏っていくことになります。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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ウェブサイトやSNS、あるいはスマホアプリは、基本的に私たちが長時間使えば使うほどもうかる仕組みです。

そのため興味・関心を分析し、それらに合った情報を流すことを悪意なく行っています。

結果として、選挙結果に影響を与えているということです。

この構造にあらがうことは簡単ではありません。スマホからの情報だけでなく、複数のテレビ番組や新聞、あるいはいろいろな立場の人が書いた本を読む、話を聞くなどして、自分でバランスを取る必要があります。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/