人材マッチングの実績なし…その要因は? 沖縄総合事務局のコロナ対策事業


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〈沖縄総合事務局〉

 沖縄総合事務局が9月下旬から開始した企業間の人材マッチング事業で、13日までにマッチングに至った実績がないことが同日、分かった。同事業は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて従業員を休業させている企業が、コロナ禍でも人手不足の企業に従業員を出向させ、雇用維持を図る取り組み。感染状況に伴う需要の変化が予測できないことや事業の利用で雇用調整助成金の助成額が減ることが要因となっている。

 同局が8月に実施したアンケートでは138社から回答があり、91社が人材マッチング事業を利用する意向を示した。そのうち16社は人材の送り出し、58社は受け入れを希望した。17社は将来的に利用することを望んだ。

 同局は10月中旬までに、観光業と飲食業各1社で小売業とのマッチングを試みた。だが観光業では「GoTo」キャンペーンの実施に伴う需要回復で人員の余剰が改善され、飲食業では新規事業の展開に伴い、フルタイムで出向できないというニーズの不一致が理由でマッチングに至らなかったという。

 感染状況に伴う需要の変化が予測できないこともマッチング事業の利用の妨げになっているという。

 アンケートを実施した8月は感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け、休業者は3万4千人と前月比約2・25倍増だった。一方、感染状況が落ち着き始めた9月は2万1千人に減少した(いずれも県の調べ)。

 担当者は人材マッチングで「一度取り決めを交わすと出向させざるをえない。出向は自社の営業に関わる。『様子を見たい』との声もある」と述べた。

 出向の場合、雇用調整助成金の支給額が減少することも要因になっているという。沖縄労働局の担当者によると、雇用調整助成金は出向元の企業が賃金を支払う場合に利用できる。一方、休業に比べて助成率や上限額は低い。担当者は「助成額が少なく、会社の負担は大きい」と指摘した。