サンマ裁判 抗議文寄贈 裁判官31人署名 県公文書館1月公開


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抗議文を起案した比嘉正幸さん(左)から寄贈を受ける上與那原美和子館長=17日、南風原町の県公文書館

 米統治下の1966年、琉球政府の裁判所で係争中の二つの裁判を米軍が米国民政府の裁判所に移送するよう命じた事件で、命令撤回を求めて琉球側の裁判官が連名で作成した抗議文が17日、南風原町の県公文書館に寄贈された。署名した一人、上原吉勝さんが埼玉県の自宅で保管していたが、事件を取材した沖縄テレビ(OTV)に託し、寄贈の運びとなった。県公文書館の来年1月の展示で公開される予定。

 二つの裁判は、輸入業者が課税対象外のサンマに税金が課されたことを違法と訴えた「サンマ裁判」と、65年11月の立法院議員選挙で、当選者の被選挙権が失格となったことに関する「友利裁判」。当時のワトソン高等弁務官が米国民政府の裁判所に移送するよう命じたことから、住民自治や司法権独立を巡る問題に発展した。

 寄贈された抗議文は米側への提出に際して控えとして作成された。66年6月20日付で裁判官31人の署名があるが、実際には38人いたという。米側へ提出された記録が公文書館の所蔵史料で確認できるが、その原本は見つかっていない。

 17日の寄贈には、当時抗議文を起案した弁護士の比嘉正幸さん(86)=那覇市=も同席した。県公文書館の上與那原美和子館長は「沖縄の置かれている立場やどんな事件だったのかが分かる一級の文書だ」と語った。