新型コロナウイルス感染拡大で売上減少が続く飲食業を支援する「GoToイートキャンペーン」のプレミアム付き食事券事業が17日、県内でも始まった。購入額に25%を上乗せした金額が利用可能な食事券が発行され、県内の飲食店は外食需要の拡大に期待を寄せている。ただ、消費者からは手続きの煩雑さを指摘する声も上がり、事務局のコールセンターに問い合わせ電話が相次ぐなど、一部で混乱も生じた。
事業に加盟する那覇市内の居酒屋オーナーは17日、キャンペーンの公式サイトを開いてがく然とした。サイトの加盟店一覧に、同店が掲載されていなかったからだ。このオーナーは午前中から何度もコールセンターに電話をかけたが、つながらなかったり、つながっても長い時間待たされたりしたという。
「加盟できているのに、スタート時点で店名が掲載されていないのは不利になる。限られた人数で作業をしていると思うが、公平にしてほしい」と指摘した。
キャンペーン事務局によると、加盟申請が完了すると、電子券のQRコードを読み取る機械が飲食店に送り届けられる。機械が届いた飲食店は県全体で約450店舗と見込まれる。だが、17日時点で、ホームページ内で検索できる加盟店数は304店舗にとどまっていた。
事務局の担当者は「飲食店の住所など、情報を間違いなくサイトに掲載するため時間がかかっている部分もある。なるべく1日に1回は更新できるよう作業を進めていく」と、作業の迅速化を進める考えを示す。
消費者からも不満の声が漏れる。キャンペーンの食事券は紙と電子で発行されるが、いずれもインターネット上の公式サイトで登録が必要となるためだ。
琉球新報には「食事券のキャンぺーンには税金が使われている。パソコンやスマホが使えないと購入できないというのは、非常に不公平ではないのか」との指摘が寄せられた。
事務局はネット環境がない人に対して、コールセンターへの問い合わせを呼び掛けている。だが、同日はコールセンターに飲食店からは加盟店の申請、消費者からは購入方法について問い合わせが相次ぎ、つながりにくい時間が続いた。
今後は電話回線を増やすことや、ファミリーマートの店頭にあるマルチメディア端末「Famiポート」を操作し、その場で発券、購入できる方法を検討するなど、利用しやすい環境を整えていく方針だ。
電子券発行に携わる沖縄銀行の担当者によると、17日時点で、電子券が購入された金額は県全体で約3千万円に上ったという。
那覇市の飲食店「串焼きとだしカレー。マカト泉崎店」の男性従業員は「感染が続いていることもあるが、売り上げの増加に少しでもつながってほしい」と期待感を示した。