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本紙の男性のジェンダー意識調査では「沖縄独特の文化について、性別で役割分担すべきだと思うか」との問いに55.0%の県民が「すべきでない」と答え、自宅での仏事や位牌(いはい)(トートーメー)継承など男女で役割分担が明確になりがちな文化に否定的な声が集まった。
沖縄特有の文化で男性ゆえの生きづらさを「頻繁に感じる」「たまに感じる」と答えた県民は、「長男」と答えた人で38.5%、長男以外は27.5%で10ポイント以上の差がついた。「頻繁に感じる」と答えた長男は12.6%だったが長男以外は3.5%にとどまり、長男の負担感の大きさが表れた。
どのような時に生きづらさを感じたか聞くと、長男では「旧盆」を選んだ人が26.1%、「仏壇・位牌の継承(トートーメー)」が24.8%で上位を占めた。長男以外では旧盆が19.0%、仏壇が10.6%で共に10ポイント以上の差がつき、祖先供養や家制度での長男の負担の大きさが表れた。
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こうした沖縄独自の文化での性別役割分担を「すべきでない」と答えた県民は55.0%で、「すべき」は12.9%いた。「長男」と答えた人と長男以外の人で割合に差はなかった。「分からない」が23.6%、「その他」が8.6%だった。「その他」では「各家庭で決めればいい」「できる人がやればいい」が多く、柔軟に考える人が一定数いることが分かった。(黒田華)
【識者談話】同性間で生じる「抑圧」にも目を向ける 砂川秀樹氏
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ジェンダー問題に関心がある層が回答したであろうことから一般化はできないが、県民では40代以上の中高年が回答者の77・4%を占める中「沖縄独特の風習、文化などについて性別で役割分担すべきでない」との声が半数以上を占め「すべき」が12・9%だった結果は興味深い。性別役割に疑問を持っている層が一定数いるということだ。
沖縄特有の文化で、男性ゆえの生きづらさを感じたのは、「長男」の方が長男以外より「頻繁に感じた」という回答が多く、ジェンダーに加え兄弟における位置が大きく影響している。自由記述では、職場での力仕事の負担も含めた性別役割、男性間のパワハラ、飲み会での「男らしい」会話など多様な生きづらさの経験が語られている。
これらの生きづらさを生み出す性別役割は、女性の運動の中で訴えられてきた性別による非対称的な労働の問題と一体だ。女性の地位向上と手を携え、ジェンダー平等のために声を上げていく必要があるだろう。
一方、男性間で生じる抑圧は、これまでジェンダー問題の中で取り上げられることが少なかった。性別に関する生きづらさが「異なる」性別間だけで生じているわけではないことへの理解の広がりが必要だ。
(明治学院大学・国際平和研究所研究員、文化人類学)