イクメンに違和感…ジェンダーにとらわれない社会とは? 「家事は一緒」の男性の本音<国際男性デー>


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子どもたちと遊ぶ山城司さん=2019年10月、中城村の県営中城公園(提供)

 「男だから」「男なのに」。琉球新報が実施した男性のジェンダー意識調査では、性別による考えで「生きづらい」と感じている人が半数に迫った。沖縄社会に残る「長男信仰」、文化や風習に色濃く残る性別役割分担にも変化を求める県民の声が寄せられた。ジェンダーにとらわれず自分らしく生きる社会とは。調査結果から見えた男性の本音や、柔軟に生きる当事者の実践を探った。 (仲村良太)

 嫡子(長男)が受け継ぐことが基本とされる位牌(いはい)(トートーメー)継承など、性別による役割分担の文化が根強い沖縄だが、本紙の意識調査では「男性だから」などの性別に基づく考え方に「生きづらさ」を感じたことがある人が半数近くに上った。ジェンダーの役割にとらわれないで家事や育児に取り組む男性に話を聞くと、実生活でも「男らしさ」を求められる場面が多い中で、自由に自分らしい生き方を実践していた。

 「男性でも、女性でも変わらない。時間がある人がやればいい」。学校法人職員の山城司さん(42)=那覇市=は家事や育児への関わり方について、合理的に捉えている。

 妻(41)と小学1年の長男(7)、保育園に通う次男(3)の4人で暮らす。自身は授業のある午後からの勤務も多いため、平日は朝食作りや洗濯、掃除、食器洗いに加え、子どもたちを登校、登園させるなど、家事や育児のほとんどを担う。

 妻と共働きで支え合うからこそ「家事・育児をする男性が増えれば、女性の能力を社会により生かせる」との熱い思いもある。だからこそ、育児をする男性を特別視する「イクメン」という言葉がもてはやされる風潮には「男が育児しない前提だ」と違和感を抱く。

手早く洗い物を片付ける川満康弘さん=17日、宜野湾市内

 周囲からは「お前みたいなのがいるから家事をやらないといけない」と嫌みを言われることもあるという。だが、県民所得が低く、共働きが多い沖縄だからこそ、家事や育児も分担すべきだと考える。

 「女性がバリバリ働き、男性が家事をしてもいい。子どもたちともそんな話をしている」。流し台でてきぱきと洗い物をする川満康弘さん(54)=宜野湾市=は語る。

 LPガスの保安業務に携わる川満さんは、公務員の長女(24)と大学生の長男(21)との3人暮らし。6年前に病気で妻を亡くしてから、日々の家事のほとんどを担う。

 以前から食器洗いや洗濯は手伝っていたが、料理は卵焼きくらいしかできなかった。今では「アプリで何でもできる」と台所にも立っている。

 家事や育児を担うことで女性の負担の大きさを実感した。「娘も働いている。頑張ってきた人が結婚しても、出産しても働ける環境が広がればいい」と多様な生き方を尊重する社会の醸成に期待する。