総額2500万円の被害を防げた理由は…沖縄で特殊詐欺が最少の26件に


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 電話やインターネットを介し、架空料金の請求や還付金をほのめかすなどの手口で金銭を要求する「特殊詐欺」について、県警の2019年の取扱件数は26件、被害総額は約2013万円となり、過去5年で件数、被害額ともに最少となった。県警によると、金融機関やコンビニエンスストアの従業員が異変に気付き、被害を未然に防ぐ事例が多い。被害を阻止した総額は過去5年で2500万円を超える。店頭での従業員らによる「声掛け」が功を奏している。(高辻浩之)

 15年の取扱件数は54件、被害額は約9847万円だった。19年時点で、被害額は約5分の1に減少した。今年10月末現在、取扱件数は23件、被害額は約688万円となっている。23件のうち、5件は未然に阻止された。

 19年からの過去5年で、県警が取り扱った特殊詐欺の件数は計213件。このうち未然に阻止した事例は76件だった。阻止率は約35・7%で、阻止総額は約2506万円に上る。
 19年の全国の特殊詐欺取扱件数は2万6818件で、このうち未然に阻止した事例は1万761件、阻止総額は約72億5千万円。未然阻止の事例の約3割が金融機関職員らの声掛けなどによるものという。

 今年9月には豊見城市内のコンビニで「ネット通販を利用したら15万円を請求された」などと、女性客が店員に相談した。「怪しい」と察した店員は警察に通報し、被害を未然に食い止めた。
 県警の松崎賀充生活安全部長は「県警と金融機関やコンビニ店などとの連携強化が進んでいる。年々、特殊詐欺の手口は多様化し、被害者の年齢層も幅広くなっている。県民一体となって犯罪抑止に力を入れていく必要がある」と述べ、継続した防犯対策を呼び掛けた。