京大、本部町の古墓遺骨の保管認める 違法性否認し開示拒否 返還訴訟弁論


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 昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大学に、第一尚氏の子孫らが遺骨の返還などを求めた琉球遺骨返還請求訴訟の第7回口頭弁論が19日、京都地裁(増森珠美裁判長)であった。被告の京都大学側は準備書面で、京都帝国大学(当時)の研究者だった三宅宗悦氏が本部町渡久地の古墓から収集した遺骨の一部を現在も保管していることを認めた。次回は来年2月26日に開かれる。

 三宅氏の遺骨収集については前回の弁論で原告側が「沖縄から遺骨を盗んだ」と主張していた。京都大は三宅氏が収集した遺骨の保管は認めたが、収集・保管の違法性は否認した。原告側は遺骨を見せることと説明を求めたが、京都大は「適切に管理している」としていずれも拒否した。

 原告側が「琉球民族は先住民族だ」と主張していることに対し京都大は「認否をしない」とした。遺骨返還を求める権利を明記した「先住民族の権利に関する国連宣言」と今回の遺骨の関係は「返還請求権を基礎づけるものではない」との判断を示した。原告側は、京都大学や百按司墓で裁判官が立ち会って現場検証するよう同地裁に求める方針。