<記者解説>宮古島市長選、一騎打ちへ 現職、組織固めで先行 新人、保守層取り込み


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宮古島市役所

 来年1月17日投開票の宮古島市長選は、自民、公明の支持を受ける現職の下地敏彦氏(74)と、「オール沖縄」が擁立した新人の座喜味一幸氏(70)による一騎打ちの公算となった。下地市政3期12年の評価に加え、陸上自衛隊配備問題への対応や、新型コロナウイルスの影響で落ち込む市内経済への対応などが主な争点となる。

 22日に正式に出馬を表明した座喜味氏は、2008年の県議選で初当選し、自民会派に所属し活動してきた。自民党宮古地区支部長だった4年前の市長選で、現職の下地氏を支援できないとして離党し、保守系新人の支援に回った。今年6月の県議選で落選したが、現職と距離を置く保守系元市議の支援を受け、支持基盤の農水産業従事者を中心に約5千票を取った。玉城デニー知事を支える「オール沖縄」陣営は、座喜味氏擁立の「保革共闘」でウイングを広げ、多選批判の受け皿として保守層からの集票を狙う。

 陣営関係者は「県議選の票は現市政への不信任だ。今回も同じ票が保守層から取れる。革新も自民へのアレルギーはあるかもしれないが、ある程度は揺るがない」と話す。

 10月8日に4期目挑戦を表明して出馬会見した下地氏は、今回の市長選を「市政発展の総仕上げ」と位置付ける。社会資本整備などを進めた3期の実績を土台に、社会福祉などソフト面の施策を訴える考えだ。

 事務所開きも終え、支持基盤の建設業や経済界などの組織固めで先行する。

 初当選時から下地氏を支える自民党県連が推薦を決定。下地幹郎衆院議員ら「無所属の会」も推薦状を交付した。公明県本関係者によると、前回は自主投票とした公明も推薦を出す方向で調整を進めている。

 自民関係者は「前回の市長選では市議会与党も割れたが、今回は与党全員が現職を支持している。県議選とは違って、市長選は生活に直結する。座喜味氏の票は取り崩せる」と自信を見せる。

(佐野真慈)