殉職30年…風化させぬ 沖縄暴力団抗争、撃たれた2警官慰霊式


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
殉職した比嘉正雄警部と拝根正吉警部補を追悼する幸喜一史沖縄警察署長ら=23日、沖縄署

 同日午前11時ごろ、県警組織犯罪対策課や沖縄署の職員、OBら数十人が同署敷地内にある慰霊碑の前に集まった。慰霊碑建立に尽力した警友会の日高清晴元会長は「わが身の危険を顧みることなく暴力団に立ち向かった。決して忘れることはない」と2人を追悼した。

 幸喜一史沖縄署長は「警察職員が一丸となって暴力団壊滅に向けて職務にまい進し、日本一安全で安心な町をつくる」と誓った。

 殉職した2人は当時私服で捜査車両に乗務し、暴力団抗争の警戒に当たっていた。沖縄市胡屋の3代目旭琉会錦一家の隠れアジト近くで待機していたところ、対立組織の組員と間違えられ銃撃された。

 県警は、2人の殺害を指示したとされる全国指名手配中の又吉建男容疑者(71)は死亡した可能性が高いとみており、被疑者死亡のまま殺人容疑などで書類送検する方針で捜査を進めている。

 1990年に起きた暴力団抗争の際に、比嘉正雄警部=当時(43)=と拝根正吉警部補=当時(42)=が銃弾を受け殉職した事件から30年となった23日、県警は沖縄署で慰霊式を行った。参列者は黙とうや献花をして2人の冥福を祈るとともに、暴力団による事件を風化させることなく次世代に受け継いでいく決意を新たにした。