親川が1500メートル県中学新 師弟の並走で夢を結実 陸上・県秋季記録会


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濱崎達規(左)に励まされながら必死に食らい付いていく親川聖來=23日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 陸上の第17回秋季記録会は23日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われた。男子A1500メートルに出場した知念中3年の親川聖來(なんじぃAC)が4分6秒74、池間凛斗(東風平中3年)が4分9秒29を記録し、それぞれ県中学記録を12年ぶりに更新した。男子A100メートルは与那原良貴(アスリート工房)が10秒28で1位、同走り幅跳びの小森翔(友睦物流)が7メートル96で頂点に立った。
 (長嶺真輝)

 天候は曇り。強い北風が吹き、少し肌寒いトラックを18歳差の師弟がさっそうと駆けていく。男子A1500メートル2組のレースが中盤に差し掛かると、なんじぃACを指導する濱崎達規が先頭集団の前に出た。親川聖來がぴったりとくっつき、県中新に狙いを定める2人が最前線で並んだ。

 「お前ならいける」「後ろは離れてるぞ」。右手にストップウオッチを持ちながらペースをつくり、濱崎が走りながら鼓舞する。「きつい時に声を掛けてもらい、粘れた」。最終周回の鐘が鳴っても、親川の足にブレーキはかからない。

 そのままゴールし、力を出し切って天を仰いだ親川。県中学記録を3秒19更新する好記録をたたき出した。2018年4月になんじぃACを設立してから県記録保持者の育成を目指してきた濱崎は「やっと出せて夢みたいだった」と親川を強く抱擁した。

 「雲の上のような存在」と憧れている師に祝福された親川は「(県中学記録を)達成できてうれしかった」と照れくさそうに笑った。

 元は野球選手。持久力が高く、中2でACの門をたたき、本格的に陸上を始めた。ほぼ毎日、5キロの朝練を重ねて急成長を遂げたホープだ。「県外で通用する選手になる」と高校でさらなる飛躍を誓う。

ライバルに刺激、池間も好記録
 

先頭集団の後ろに付けてペースをつくる池間凛斗=23日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 「先頭に付いていく」。その一心でレースに臨んだ池間凛斗。濱崎と親川が中盤からペースを上げて離され、強風の中で「体が重かった」というが、気持ちは衰えなかった。「最後まで意地で走った」

 「きつくてもラストスパートには自信がある」と最終盤で粘りを見せ、県中学記録を0・64秒更新。練習を共にし、普段から仲がいい親川について「同級生であり、ライバル関係」という。背中を追いながら「勝ちたい」という強い気持ちを持ち続け、従来の記録を上回った。