試験始まる瞬間まで努力を 強い気持ちで計画通りに<言わせて大学入試改革>


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
木村 達哉

 僕は沖縄が大好きだ。実はこの原稿も、宜野湾の嘉数高台公園が美しく眼前に広がる場所で書いている。共通テストまで残り60日を切り、受験生はラストスパートに入っていることだろう。センター試験が廃止になり、共通テストが始まるので、不安に思っている受験生も多いのではないだろうか。

 個人的な話で恐縮だが、今年の新型コロナウイルスの休校騒ぎの中、YouTubeで「キムタツチャンネル」を立ち上げて、受験生や保護者や指導者からの相談に回答している。沖縄からのメールも多数届いていて、多いのが「不安です」といったような内容のものである。

 確かに新しいシステムになるのだから不安もあるだろう。しかし、新入試の初年度ということに関してはずいぶん前から分かっていたことだし、英語外部認定試験や共通テストへの筆記の導入がなくなったことでかなり楽になったのである。英語の分量に関してはかなり多くなるので、しっかりやっておいたほうがいいとは思うが、システム上の不安を感じる必要はないはずである。

 過去問がないという人もいるが、過去問をやり過ぎた受験生が、出題傾向ががらっと変化して失敗するのを毎年見てきたので、逆に過去問がないことで広範な勉強ができる(=私大入試や国公立大学個別試験への対応にもなる)のだから、いいことではないか。不安であれば各出版社が問題集を出しているので、それを1冊ぐらいやっておいて、でもこれとは全く違う問題が出るぞという意識を持っておくことが大切である。

 新型コロナウイルスに関しては、罹患(りかん)する不安というのは理解できるが、だからといって勉強が手につかないというのは言い訳でしかない。それを言うのであれば風邪やインフルエンザだって同じであろう。インフルエンザは薬もワクチンもあるのに毎年ものすごい数の人がお亡くなりになっているのである。むしろ、こういう状況だからこそ、ハートの強さが求められるのではないだろうか。

 これからの人生、新型コロナウイルス以上の難敵が待ち受けているのは確実である。人生というのはそういうもので、体力と精神力と知力と胆力が常に試されているのだ。気持ちを強く持って計画通りに学習を進めていけばいいし、試験当日は胸を張って堂々と受ければいい。そして不安を解消するためにも、試験が始まる瞬間まで努力を怠らずに行うことである。いろいろあった学年ではあるが、絶対に合格するのだという気持ちを強く持って受験に挑んでほしい。
 (灘高校・中学校英語科教諭)