Go Toイート富山県内加盟店 食事券増え現金不足 「換金遅れたら仕入れ困る」


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換金のため郵送する予定の食事券約500枚分=富山県富山市の飲食店

 全国で新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、従来通り続けるかどうかで揺れる政府の需要喚起策「Go Toキャンペーン」。そのうちの一つ「Go Toイート」のプレミアム付き食事券事業を巡り、富山県内の加盟店が「代金が期日通り振り込まれるのか」と不安を募らせている。事業の利用が集中すれば入金が遅れる可能性があると説明されているためで、現金商売の小規模店も多いだけに、店主らは「資金繰りに困るかも」と気をもむ。 (北日本新聞・本田健司)

 食事券事業は、新型コロナウイルスで打撃を受けた飲食業界を支援する目的で農林水産省が所管する「Go Toイート」の一環。富山県内では1万円分(千円券10枚つづり)の食事券を8千円で購入でき、事業に加盟する飲食店約2千カ所で使える。

 「Go Toのおかげで売り上げは伸びたが、食事券の利用が多いので手元の現金は減っていくばかり」と言うのは、富山市内にある飲食店の店主(55)。この店では食事券での支払いが6~7割を占める。「仕入れ先への支払いには現金が必要なので、期日通り入金されないと困ったことになる」と表情を曇らせる。

 客から受け取った食事券を換金する方法は▽東京都内の換金センターに半券を郵送▽食事券に印刷されているQRコードを読み取りデータ送信?の2種類。店主は、QRコードで申請を試みたが送信できず、11月中旬に約700枚の半券を郵送した。

利用が集中した場合に振り込みが遅れる可能性があると書かれた加盟店用マニュアル

 加盟店向けマニュアルによると、入金のタイミングは半券やデータが届いた時期で異なる。郵送の場合、入金日は4月までに8回。例えば、11月15日までに同センターに届いた分なら、12月8日に入金されることになっている。

 だが、店主を不安にさせるのはマニュアルに書かれている一文だ。「(利用が集中した場合)清算は1サイクル遅れることがあります」

 店主は「もしも、1サイクルずれてしまえば、次の入金日は年末の12月28日になる。いくらなんでも遅すぎます」と嘆く。

 「振り込みが予定日より1週間遅かった」と訴えるのは同市内の洋食店の経理担当者(52)。この店ではQRコードでデータ送信をした。「売り上げの4割近くが食事券。支払いが重なる時期に入金が遅れないといいが」と心配した。

 富山県キャンペーン事務局を務めるJTB富山支店の担当者は「振り込みが遅れないよう、最大限努力していく」と理解を求める。QRコードについては、専用サイトの通信処理能力を増強するなどしたと説明。半券を郵送する場合、ホチキスでとじたり、換金申請枚数と実際の半券の数に違いがあったりすると、処理に時間がかかるため、加盟店に注意を呼び掛けている。