【記者解説】コロナ解雇、今後も増加の可能性 雇用「整理」の相談も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内で今年4~9月末に11社で422人が解雇された。新型コロナウイルス感染拡大の長期化が企業経営を悪化させ、現行の助成措置では雇用を維持できない現状が明らかになった。感染拡大は続いており、今後も解雇者が増える可能性がある。(比嘉璃子)

ハローワーク那覇がある沖縄職業総合庁舎=2020年5月、那覇市おもろまち

 国の雇用調整助成金は、休業期間に事業主が従業員に支払った休業補償を補塡(ほてん)する制度だが、経営者らは「人件費よりも固定費の負担が大きい」と指摘している。ハローワーク那覇では雇用調整助成金を活用し、雇用の維持に努めてきた事業主からも9月以降、一部人員の整理について相談が増えているという。

 県や沖縄総合事務局は休業者を人手不足の企業で受け入れる人材マッチングを始めている。だが、労働条件の不一致などで運用が進まず、27日時点で実績は3件4人にとどまる。

 9月の失業率は3・7%、失業手当の受給者は7534人と、3月以降、増加傾向が続く。求人が減少し、失業者が増える中、再就職も難しい状況だ。感染拡大の長期化で今後も失業者の増加が見込まれる中、労働者の生活を守るため、企業と行政が連携して再就職支援に取り組むことが必要だ。