ノーベル賞受賞の梶田隆章さんが宇宙の謎語る OISTで高校生に講演 「やり抜く力を」


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講演で自身の研究生活を振り返るノーベル賞受賞者の梶田隆章氏=28日午前、恩納村谷茶の沖縄科学技術大学院大学講堂

 2015年にノーベル物理学賞を受賞した東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章氏が28日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で講演し、宇宙の謎に迫るニュートリノ研究の歴史や意義を解説した。講演は琉球新報社とOISTの次世代育成事業「科学立県 世界へ 羽ばたけ!未来の科学者~沖縄からノーベル賞を」の一環で、県内の高校生ら約170人が受講した。

 梶田氏は、02年にノーベル物理学賞を受け、今月12日に死去した小柴昌俊氏の下で陽子崩壊の観測を試みた装置カミオカンデの開発に携わった。陽子崩壊は観測できなかったものの、宇宙から飛来するニュートリノを観測して解析するプログラムを構築。質量がないと考えられていたニュートリノに質量があることを示す「振動」の発見につなげた経緯を話した。

 自身の研究について「生活を豊かにすることとは関係ないが、宇宙の仕組みを理解することは人類共通の財産になる」と語った。

 次世代を担う高校生に向け「やり抜く力、大切なものに出合ったときに大切だと見抜く力を養ってほしい」「チームで何かを成し遂げる経験を積んでほしい」とメッセージを送った。