沖縄の米軍の感染最多の背景は 7月のクラスターとどう違う?


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 米軍関係の新型コロナウイルス感染者が72人に上った。一日の発表数としては最多だが、県への米軍の説明によると、大部分が国外から沖縄へ入ってきた米軍関係者で、基地内での隔離期間中に陽性が確認された。事実なら、クラスター(感染者集団)が基地内で発生した7月の感染者数とは意味合いが違う。専門家は「パンデミックの中で、水際対策の成果が出た可能性もある」と指摘する。一方、米軍の行動規制に緩みも見えており、油断できない。

 今回、再び感染者数が増えた背景には、米国での感染者数の増大や、米軍内での感染蔓延(まんえん)がある。ただ、7月のクラスター発生では、大規模な人事異動や、ずさんな隔離措置、基地外でのパーティーなどがあり、県民との接触可能性が高かった。今回の感染者は、米軍の説明通りなら基地の外に出ておらず、他の基地関係者からも離れている。

 7月のクラスター発生時、米軍関係者が国外から入ってくる際の検疫が不十分だと問題になり、県なども改善を要請した。日米地位協定で日本の検疫を免除している根本の問題は変わっていないが、米軍は検疫の方法を変更した。

 当初、米軍関係者は移動元で検査を受け、沖縄に入ってからは2週間隔離されるだけで、再び検査を受ける必要はなかった。韓国やオーストラリアに入るよりも対応が緩かった。現在は移動元で1回、沖縄で隔離が終わる際にもう1回、検査を受けている。

 群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は「米軍の水際対策の結果かもしれないが、米軍経由と本土からの移入というダブルリスクに、沖縄は直面していることが露呈した。沖縄の水際対策に検査も併用すべきだと思う」と語った。

 10月24日からの約1カ月間で傷害や強盗、酒気帯び運転などの疑いで米軍兵士が摘発された事件事故は18件。逮捕された米兵が飲酒や外出を制限する米軍内の決まりやコロナ感染防止の行動規制を破っていた事例も明らかになり、統制が利いていない実態がある。