沖縄県GoTo継続、経済効果を優先 3指標で「蔓延期」医療体制は厳しく


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会見で「Go To キャンペーン」事業の継続を発表する謝花喜一郎副知事=30日、県庁(代表撮影)

 県は30日、政府の観光支援事業「Go To トラベル」と外食需要喚起策「Go To イート」事業の継続を決めた。玉城デニー知事は20日に流行の「第3波」の認識を初めて示し、同日から12月11日まで会食や家庭内の感染防止対策の「集中実施」を発表したばかり。感染が再び増え始めた9月後半以降、県は注意報や警報などで感染防止対策徹底のメッセージを出してきたが、感染抑制の「警鐘」効果が見られないまま、「Go Toキャンペーン」の継続で経済効果への期待を優先させた格好だ。

 「県外からの感染事例は少ない」「経済団体からの期待も大きい」「事業効果が見込まれている」。肺炎で入院中の玉城デニー知事に代わって記者会見した謝花喜一郎副知事は、経済団体の意見や県の専門家会議の提言も踏まえ、対策本部会議で事業継続を判断したと説明した。

 富川盛武副知事は航空旅客数と感染者数の増加は統計的に因果関係はないという政府の分科会の説明を挙げ「業者から『観光客を悪者にしないでほしい』と切実な要望があり、総合的に判断している」とトラベル継続の理由を語った。

 一方、県の警戒レベルを判断する7指標のうち、療養者数、病床占有率、新規感染者数の三つは既に最高の第4段階「感染蔓延(まんえん)期」に達している。飲酒を伴う会食での感染事例が増える中、冬場の救急医療需要やインフルエンザとの同時流行も懸念され、医療提供体制は厳しい状態が続く。

 謝花副知事は「感染蔓延期には外出自粛や時短営業、休業などの議論をして取り組まないといけない」と述べ、第3段階で8月の緊急事態宣言を出した方針から一転、第4段階になった時点で行動制限の検討に入ると説明した。その上で「こういった事態にならないよう、今の時点で取り得る全てのことに取り組んでほしい」と県民や事業者に警戒と対策を呼び掛けた。会食会合や人の移動が増える年末年始に向け、今後も難しい対応を迫られる。