【北中城】任期満了に伴う北中城村長選が1日告示され、6日の投開票に向けた選挙戦がスタートする。立候補を予定している、元村企画振興課課長の比嘉孝則氏(66)=無所属新人=と、現村長新垣邦男氏の後継で村議会副議長の天久朝誠氏(38)=同=に福祉や行財政、町づくりについて話を聞いた。 (聞き手・新垣若菜)
◆比嘉孝則氏 元村企画振興課課長
―今選挙の争点と現村政の評価をどう考えるか。
「現村政に対しては地域の声が反映されていないように感じる。経常収支比率も90%を超えていて非常に高い。これでは自主財源が乏しく、独自の政策が打ち出せない状況だ。地に足の付いた財政運営をすべきだと考える。争点は現村政の継承か、刷新を求めるのかという部分だ。住民の声をきちんと拾い、身の丈にあった政策を実施していきたい」
―村が抱える課題は何か。
「自由度が効かない財政運営が強いられている部分が大きい。福祉サービスにしても大胆な独自サービスが打ち出せていない。村民体育館の維持管理費は年間6千~7千万円出ている。それに加え、多目的アリーナが造られた場合は、村の計画で年間9千万円の維持管理費が出ると言われている。90%を超える経常収支比率があり、残り10%程度の余裕財源しかない中で、年間にこれだけの予算が消えていくのは厳しい。さらに取り組みが縛られ、展開できない状況になる。財政が逼迫(ひっぱく)している」
―課題を踏まえた上で強調したい取り組みや公約は。
「行財政の再建だ。整合性の取れた実効性のあるものをしっかりと作り上げる。税収を上げるために宅地造成や企業誘致など、村長がトップセールスをして取り組む。あとはアリーナの問題だ。用地買収が滞っているので事業に着手できていない状況だが、駐車場不足の問題も指摘されている。隣接する沖縄市にも大きなアリーナが完成する。北中城村に計画されているほどの規模が必要なのか、膨大な維持管理費の件も含め、見直す必要がある。また、財源をうまく生かし、地域を支える青年会や婦人会、老人会などコミュニティーが広がる取り組みにも力を入れたい」
―村の将来像は。
「都市空間と豊かな田園風景が調和する文化村にしていきたい。中城城跡など固有財産を生かし生産活動が活発になるための観光振興策などを図っていく。地域の色を大切にし元気で住みやすい村にするために全力を尽くす」
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比嘉 孝則(ひが・たかのり)1954年6月25日生まれ。北中城村喜舎場出身。工学院大卒。村総務課長、企画振興課長などを務め2015年に退職。16年村長選も立候補した。
◆天久朝誠氏 村議会副議長
―今選挙の争点と現村政の評価をどう考えるか。
「北中城村はひと昔前までは知名度もそこまでなかった。しかし、スピード感を持った基地の跡地利用など経済成長も著しい。今や全国的にも知名度が高くなり、評価されていると感じる。村議会に立候補した時から、いずれは必要とされれば村のリーダーとして働きたいと準備してきた。争点は、住民が新しい時代のリーダー像をどう捉えるかだ。新垣邦男村長の後継として、子育てや教育、福祉に力を注ぎ、他市町村と連携しながら、住民が暮らしやすい環境を整えるために全力を尽くしたい」
―村が抱える課題は何か。
「街づくりに力を入れているのに対して、人口があまり増えていない。それは宅地として利用できる土地に制限があるからだ。住みたくても住めない状況にある。今後、高齢化率はどんどん高くなる。高齢者を支える若い人材が必要となってくる。早めに手を打って人材を呼び込み、地域の力を高めていく取り組みが必要だ」
―課題を踏まえた上で強調したい取り組みや公約は。
「子育てと教育、福祉が特に重要になってくる。魅力ある村だと思ってもらえれば、人口は増えてくる。財源を有効に活用し、人材を育てながら高齢者も支えるという、良い循環を生み出したい。具体的には、給食費の無償化を提案している。財源は『こども応援基金』を創設し、ふるさと納税や一般会計などを充てていこうと考えている。今は中間層といわれる人たちも経済的に厳しい状況にある。その中でまずは食事を担保して、村全体で支えていきたい。教育に関しては従来力を入れている大学進学に加え、ICT教育の改革を進めたい。使いこなす技術と思考を子どもたちに付けさせたい」
―村の将来像は。
「魅力の一つである自然部分を残し、その中で土地の制限がかかっている部分の見直しを進めて、経済の活性化を図りたい。可能性がたくさんある北中城に、若さと情熱を行動力を持って新しい風を起こしたい」
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天久 朝誠(あめく・ちょうせい)1982年6月5日生まれ。北中城村和仁屋出身。沖縄大学卒。障がい者施設職員を経て2010年9月に村議会議員選挙に初当選。現在3期。