「県民の痛みや苦しみを無視している」 外来11機が嘉手納基地に飛来 騒音激化を懸念


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外来機専用のひさし付き駐機場に並んで駐機するFA18=1日、米軍嘉手納基地(読者提供)

 【中部】米軍嘉手納基地に1日、米軍岩国基地(山口県)から戦闘攻撃機FA18Dホーネット11機が飛来した。同型の外来機が一度に10機以上飛来するのは極めて異例。嘉手納基地では先月、在沖米海兵隊が格納庫などの新施設を開設したほか、外来機専用のひさし付き駐機場が整備されるなど外来機の受け入れ体制が強化されている。周辺住民からは外来機の往来激化に伴うさらなる騒音被害を懸念する声が高まっている。

 沖縄防衛局の目視調査によると1日午前11時から同55分にかけ、11機が順次飛来。着陸後は今夏に完成した外来機専用のひさし付き駐機場に駐機する様子が確認された。嘉手納町によると午前11時7分に町屋良の騒音測定局で93・5デシベルを記録した。本紙取材に防衛局は機体の所属や飛来目的について「米軍の運用に関わることで、当局として承知していない」と回答した。

 これまで海兵隊の戦闘攻撃機が嘉手納基地に飛来した際には、同基地所属の戦闘機F15などと異機種戦闘訓練や対地攻撃訓練を実施している。今後、同基地を拠点にさまざまな訓練を展開する可能性がある。

 騒音激化を受け、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団などは先月18日に防衛局前で抗議集会を開いたばかりだった。新川秀清団長は「外来機が多数飛来し訓練を繰り返す状況は、県民の痛みや苦しみを無視しているとしか言いようがない」と批判する。嘉手納町屋良に住む60代男性も「普天間飛行場や辺野古移設問題で忘れられがちだが、嘉手納基地は着実に機能強化が進められている。住民の被害はより深刻になるのではないか」と不安な心境を吐露した。