プロバスケットボールBリーグは2020―21シーズンの序盤戦を終えた。琉球ゴールデンキングスは12勝3敗で西地区1位をひた走っている。けが人が続出する中でも開幕3戦目から11連勝を記録し、総合力の高さが際立つ。新型コロナウイルス禍で社会に閉そく感が漂う中、「沖縄を元気に」を合言葉にどの選手もハードワークを維持し、代名詞である堅守は健在だ。各ポジションの新加入選手がチームオフェンスの幅を広げ、攻撃にも厚みが加わった。(長嶺真輝)
■スペーシング向上
優勝候補の一角である強豪川崎とのアウェー2連戦を連勝した11月8日。「特にガード陣はプレーに余裕が生まれている」。エースガードの一人、岸本隆一が声を弾ませた。昨季に比べて「スペーシング」(コート上の選手の位置取り)が向上した結果、今季は3点弾やドライブなどガード、フォワード陣の攻撃に多彩さが生まれている。
狭い空間を両チームの10人が所狭しと素早く動き続けるバスケでは、選手同士が互いのプレースペースを確保することは攻撃の効率性を高めるために重要な要素となる。この変化をもたらしている最大の要因は、常々自身の強みを「1番(ポイントガード)から5番(センター)までこなせること」と語る新加入の万能フォワード、ドウェイン・エバンスだ。
昨季同じポジションを務めたデモン・ブルックスよりパスの意識が高く、内外から得点できるため、相手守備が引き付けられる。高さのあるエバンスがチームのプレーを創出することでガード、フォワード陣に余裕が生まれて攻撃の選択肢が増えた。
ジャック・クーリーに頼る時間帯も多かった昨季に比べ、相手にとってはより守りにくいチームとなった。
195センチの高身長ガード船生誠也や元日本代表シューターの今村佳太も加入し、昨季途中の就任会見で「全員で攻める姿勢、意識をつくりたい」と語っていた藤田弘輝HCの描くチームオフェンスの完成度が、より高まってきている。
■試金石の12月
好調なキングスだが、課題を挙げるとすればファウルの多さだろう。現在、リーグで東地区1位の宇都宮に次いで2番目に少ない平均失点を誇るが、ファウル数は4番目に多い。リードしながらも、接戦に持ち込まれた11月11日の名古屋戦で藤田HCは「フリースローを打たれ過ぎている。激しく、賢い守備をつくりたい」とコメント。
相手のフリースローが多いと点差を離しきれないため、今後の変化に注目したい。
半月の中断期間を終え、2日から再開するシーズンの初戦は2ゲーム差でキングスを追う西地区2位の三河だ。3季連続得点王のダバンテ・ガードナーに加え、日本代表の金丸晃輔、シェーファーアヴィ幸樹らをそろえる攻撃力の高いタレント軍団をキングスの堅守で封じ込めたい。
さらに12月はリーグ3連覇を狙う東京や川崎との再戦も控える。シーズンは全60試合と先は長いが、強豪ひしめく東の上位陣とどのような戦いを繰り広げるかは、プレーオフ進出や初のリーグ王者を目指す上での試金石となりそうだ。