21年産サトウキビ交付金据え置き 1トン1万6860円 農水省


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サトウキビなど甘味資源作物価格について話し合われた自民党の野菜・果樹・畑作物等対策委員会に集まった議員ら=2日、東京

 【東京】政府・与党は2日、2021年産サトウキビの生産者交付金を、前年から据え置きの1トン当たり1万6860円とすることを決めた。同日に開かれた自民党の野菜・果樹・畑作物等対策委員会で了承し、農水省が決定した。基準糖度帯も変更はない。農水省側からは引き下げを求める声も出ていたが、前年の水準を維持した。宮下一郎農林部会長は「事業継続に向けてしっかりがんばってほしいというメッセージを込めた」と強調した。

 台風、干ばつなどの自然災害からの生産回復などを支援する「さとうきび増産基金(セーフティーネット基金)」の予算は引き続き確保する。政府・与党案には、優良品種への転換、生産基盤の整備など生産性向上に向けた取り組みへの支援も盛り込まれた。

 交付金は、環太平洋連携協定(TPP)発効や消費増税の影響を受け、昨年まで2年連続で増額していた。一方で、来期については農水省側から、新型コロナ対策での財政出動による財源不足や、機械化の進展などによる生産者のコスト減を見越して引き下げを求める声が上がるなど、厳しい見通しが伝えられていた。

 交付金が据え置きでまとまったことを受け、JA沖縄中央会の大城勉会長は「コロナ経済対策事業など財源が限られる中で、さとうきび農業に対して一定の評価をいただいた。生産振興に対する支援も確保できた」と安堵(あんど)の色を見せた。

 玉城デニー知事は「農家が意欲を持って生産に取り組み、製糖工場の経営安定に資するよう政府に配慮してもらった。県としても、国と連携しながら地域一体となって増産に向けて取り組んでいく」とコメントを発表した。