多良間ゆかりの組踊「手水の縁」村民を魅了 安次富紀子さんら公演


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 【多良間】県文化振興会は11月23日、多良間村字塩川ピトゥマウガンで「重要無形文化財保持者等公演」を開いた。2部構成で国指定重要無形文化財保持者の安次富紀子さんら多くの演者が古典や雑踊り、組踊「手水の縁」を披露した。(清村めぐみ通信員)

村民を魅了した「手水の縁」の一幕=11月23日、多良間村

 多良間中の生徒らも舞台に立ち、伝統行事「八月踊り」の演目を披露した。来場者はきらびやかな演者のしぐさに見入っていた。伊良皆光夫村長は「この日を村民一同楽しみにしてきた。先人が見てきた組踊を共有できる大切な一日だ」と喜んだ。

 組踊「手水の縁」は多良間にゆかりがある演目で、1887(明治20)年ごろに八月踊りで演じられた記録があり、台本が今も残っている。

 作者の平敷屋朝敏の一門の墓「里之子墓」が村仲筋にあり、朝敏夫妻の他5人の遺骨が納められている。

 主催者あいさつで県文化振興会の又吉民人理事長は「手水の縁は多良間村と縁が深い。280年余の時を経て最高の配役で催されることは作者にとって感慨深いものがあると思う」と語った。