在日米軍経費の詳細報告を要求 アメリカ連邦議会上下軍事委が国防権限法の最終案


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米軍普天間飛行場(資料写真)

 【与那嶺路代本紙嘱託記者】米連邦議会の上下軍事委員会は3日、国防予算の大枠を定める2021会計年度(20年10月~21年9月)の国防権限法案の最終案を公表した。在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を定める特別協定が来年3月末に期限を迎えることを踏まえ、経費の詳細を報告するよう国防長官に求めている。

 特別協定の日米交渉について、連邦議会は「相互尊重、公平性、国益の共有という原則を基に交渉し、協定の期限が切れる前に妥結することが米国の国益にかなう」と強調。日本側に大幅な負担増を要求するとされるトランプ政権に、節度を求めた格好だ。

 国防長官が議会に提出する報告書は(1)労務費や光熱費、訓練移転費などの説明(2)日本国内と国外で発生する経費の詳細(3)在日米軍が前方展開することによる米国の国益と地域の利益―を盛り込むよう求めている。

 また、日米交渉が、21年3月末の期限までに妥結できなかった場合の影響についても報告を求めている。

 環境関連では、有機フッ素化合物(PFAS)を含まない泡消火剤の開発促進などを盛り込んだ。

 中国の軍事増強を念頭に、インド太平洋地域での米軍の軍事活動を展開する「太平洋抑止イニシアチブ」の初年度に、約22億ドルを振り向けた。

 最終案は上下両院でそれぞれ可決した後、大統領が署名して成立する。ただ、トランプ大統領は南北戦争で奴隷制を支持した南軍将官にちなんだ米軍基地名の変更を批判しており、拒否権の発動も示唆している。