日米の軍事一体化を危惧 記者ら 沖縄、巻き込まれる恐れ 那覇 アジア情勢巡り講演会


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日米の軍事的な一体化や沖縄へのミサイル配備について論じる末浪靖司日本平和委員会常任理事(中央)と新垣毅琉球新報政治部長(左)、新垣邦雄東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター事務局長=5日、那覇市の教育福祉会館

 東アジア共同体研究所琉球・沖縄センターは5日、那覇市の教育福祉会館で講演会「琉球列島ミサイル戦争の危機」を開催した。アジア・太平洋地域の安全保障環境や平和の問題を取材するジャーナリストらが登壇し、自衛隊の米軍との一体化や沖縄が戦争に巻き込まれる恐れについて議論した。

 日本平和委員会の常任理事で、ジャーナリストの末浪靖司氏は「自衛隊は日本国内だけでなく、国外でも米軍と訓練している。世界の紛争地域に派遣され、米軍の戦争を支援してきた。自衛隊が米軍と一緒になって戦争の準備をしている」と語り、米軍が自衛隊を指揮下に置くようになっている動きを説明した。

 その上で「自国を守ることが自衛隊の任務だ。その指揮権が外国に握られたら、その国の言いなりにならざるを得ない。国民の生命、安全、国の運命を外国に委ねていいのか」と警鐘を鳴らした。米国のバイデン次期政権の対日政策について「尖閣諸島をてこに、一層の自衛隊増強を日本に求めてくるだろう」と分析。対米従属の「落とし穴」にはまらないため、国民が安全保障について学び考えることが重要だとした。

 琉球新報編集局の新垣毅政治部長は、元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏やロシア大統領府関係者への取材を紹介しながら、沖縄へのミサイル配備の可能性を指摘した。「沖縄をはじめ、日本に核弾頭搭載できる中距離ミサイルを大量に配備する計画がある。核戦争が迫っている」と述べ、大国間の覇権争いに沖縄が巻き込まれる危険性に言及した。

 宮古島市や石垣市などへの陸上自衛隊の配備について、「沖縄を再び捨て石にしようとする作戦が公然と行われている」と指摘。在日米軍の存在について「日本を本気で守る気があるのかをよく考えないといけない。米本国から見た防波堤を、守っているということだ」と述べた。

 軍事ジャーナリストの小西誠氏は、自衛隊が南西防衛に注力するようになっていることを解説した。講演会は、東アジア共同体研究所琉球・沖縄センターの年刊ジャーナル創刊と単行本発刊を記念して催した。