肉用牛の信頼回復へ一丸 和牛「血統不一致」再発防止へ大会 生産者ら、規定順守誓う


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 久米島町の元人工授精師の男性が種付けした黒毛和牛で、親牛との血統不一致が相次いだ問題を受け、県畜産振興対策推進協議会は5日、「肉用牛人工授精適正化決起大会」を那覇市のJA会館で開催した。生産者や人工授精師、行政関係者など約70人が参加し、再発防止に向けて業務マニュアルの順守徹底を誓った。

肉用牛の人工授精適正化に向けて、業務マニュアルの順守などを誓いガンバロー三唱する生産者や人工授精師、行政機関の関係者ら=5日、那覇市のJA会館

 「肉用牛供給基地として誰からも信頼される産地を目指し、生産農家、家畜人工授精師、関係機関が一丸となって取り組む」とする大会宣言を採択した。

 血統不一致問題では県のDNA調査で、11月24日時点で久米島町の元人工授精師の男性が手掛けた和牛1019頭のうち、農家側の取り違えとみられる事例も含めて81頭に血統不一致が生じている。久米島町以外の地域でも12頭の血統不一致が確認されている。

 県は9月、男性に対して免許取り消しの行政処分をした。県と県家畜改良協会は今後、県内の授精師に対して抜き打ちで年間約160頭を検査し、授精が適正に行われているかをチェックしていく。

 再発防止に向け、県やJAおきなわなどでつくる県家畜人工授精適正化会議は、生産者、人工授精師の双方が取り組む内容を記載した「家畜人工授精業務マニュアル」を作成した。

 大会では、生産者を代表し、宮古和牛改良組合の荷川取広明組合長が「生産農家自身が、所有する牛の管理を徹底し、マニュアルに基づき人工授精時の立ち会いなどを忠実に実施することが必要だ」と決意表明をした。

 6日以降、子牛競り市場の場内に「出荷牛一頭一頭が沖縄代表。ともに沖縄ブランドの推進に取り組もう!」などの大会スローガンを掲示するなどし、購買者にも再発防止の取り組みを伝える。

 決起大会後、JAおきなわの普天間朝重理事長は「信頼がなければ売買は成立しない。新たなスタートに向けて意思を統一する。ブランドを守るということがどういうことなのか、全員が真剣に考える必要がある」と話した。