遺骨返還「対話」で解決方法探る 中城でシンポ、研究者ら10人が登壇


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「琉球人遺骨問題に関する『対話』シンポジウム」で意見を述べる松島泰勝龍谷大教授(右端)ら=5日、中城村の吉の浦会館

 【中城】旧帝国大学の研究者によって沖縄から持ち出された遺骨が返還されていない問題で、市民団体「ニライカナイぬ会」は5日、中城村の吉の浦会館で「琉球人遺骨問題に関する『対話』シンポジウム」を開いた。会メンバーや県内外の研究者ら10人が登壇し、対話による課題解決の糸口を探った。

 樺太(サハリン)にルーツがある北原次郎太モコットゥナシ北海道大准教授は、アイヌ民族の遺骨が近代以降、沖縄と同じく研究対象で収集されたと説明。「対等な関係で合意を取った研究ではなかった」と指摘した。一方、アイヌでも関心に温度差があるとし「身近な問題として理解されれば多くの人が関心を持つのでは」と話した。

 文化人類学の太田好信九州大名誉教授は「盗んだ遺骨は元の場所に戻すべきだ。新しい関係をつくることが可能なら、過ちを犯した者が返還することだ」と述べ、対話の重要性を強調した。

 中城村でのシンポは、京都帝国大(当時)の金関丈夫助教授(故人)が1929年に村久場で母子2人の遺骨を持ち出したことから開催に至った。