沖縄電力、2050年までにCO2排出ゼロへ 国内大手で初 脱炭素へ「挑戦的な目標」


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二酸化炭素排出実質ゼロの目標を発表する沖縄電力の本永浩之社長=8日、那覇市

 沖縄電力(本永浩之社長)は8日、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出量を2050年までに実質ゼロとする環境対策を発表した。再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大による主力電源化と、水素やアンモニアなどの燃料への転換などによる火力発電設備のCO2排出削減を2本柱に、脱炭素化に向けて中長期的な取り組みを進めていく。

 沖電によると、CO2排出実質ゼロの目標を国内の大手電力で公表するのは初めて。一方で沖縄電力は、19年度の発受電電力量に占める非効率な石炭火力の割合が約6割に上り、大手電力で最も高い。本永社長は「(CO2排出ゼロは)挑戦的な目標だが一丸となって取り組む」と話した。

 10年後の2030年までの中期的な目標として、CO2排出量を05年度比26%減の510万トンまで削減する。30年後の2050年段階での電源構成や投資額については「具体的に話せる段階ではない」とした。

 現在進めている再エネ導入の取り組みとして、風力由来のエネルギーで波照間島の電力需要を100%供給する実証事業で、11月27日から12月7日にかけて229時間27分間の連続供給を達成したことも発表した。11月10~14日の約100時間を大幅に更新した。

 引き続き太陽光や大型風力発電などの拡大を進め、再エネによる発電量を19年度末の2・9万キロワットから30年に約13万キロワットまで増やす。系統安定化技術の活用・高度化、デジタル制御技術の構築などにも取り組み、再エネを主力化していく工程を示した。

 火力発電設備のCO2排出削減は、石炭や石油に比べ排出量が少ない液化天然ガス(LNG)の消費を拡大し、石炭発電機でバイオマスを混焼し高効率化するなど、非効率な火力発電の割合を低下させる。2030年以降は水素、アンモニアなどの燃料への転換、CO2オフセット(相殺)技術を利用した次世代型電源の導入、CO2の回収・有効利用・貯留用設備(CCUS)などの導入を図る。