徒歩で沖縄1周 同じ目的の3人、つながった偶然の出会い 計1302キロの旅を共有


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沖縄徒歩1周旅を終えて再会した(左から)赤嶺美希さん、鹿野眞喜雄さん、飯村匡哉さん=11月3日夜、那覇市内

 沖縄本島を徒歩で1周しよう―。同じ目的を持った見ず知らずの3人が10月、やんばるの道中などで鉢合わせる思いがけない出会いがあった。沖縄を歩いて回った経験のある人はウチナーンチュでもそう多くはいない。そもそも、なぜ歩こうと思い立ったのか。

(當山幸都)

歩行ルートや日数、距離をまとめた3人の記録  3人は横浜市の鹿野眞喜雄さん(71)、茨城県の飯村匡哉さん(24)、那覇市の赤嶺美希さん(21)の3人。

 最初に歩き始めたのは飯村さんだ。大学院時代、「大企業で働くと自分の才能が崩壊する」と感じていた飯村さんの肩書は「幸せ研究家」。人に刺激や感動を与えることがしたいと旅を続ける。9月28日、那覇空港から重さ10キロの荷物を背負い、北上した。

歩行ルートや日数、距離をまとめた3人の記録

 北海道や三陸など全国で一人歩きを続ける鹿野さんは、10月3日に横浜市であった写真家・石川文洋さんの講演に感銘を受け、歴史や文化に触れようと次の旅先を沖縄に決めた。3日後の6日から那覇をスタートし、南部戦跡を巡って久高島に渡った後、東海岸を北へと歩を進めた。 赤嶺さんは3年前、高校卒業を記念して沖縄徒歩1周を試みた。「4日あれば回れると思ったが見通しが甘く、アルバイトがあったので断念した」という。再挑戦となる今回は10月13日に那覇市の自宅を出て、飯村さんと同じく西海岸から北回りのルートを取った。

 「歩いているのか」。鹿野さんが飯村さんに声を掛けたのは16日、東村内の国道沿いだった。2日後、鹿野さんは今度は国頭村の路上で赤嶺さんと遭遇し、赤嶺さんの向かう先に飯村さんがいることを伝えた。23日、南城市内の沖縄そば屋にいた飯村さんに、赤嶺さんが「もしかして」と話し掛け、3人がつながった。

 11月3日、旅を終えた3人が那覇市内の居酒屋で再会した。沖縄1周にかかった日数は、伊江島にも立ち寄った鹿野さんが22日(徒歩距離527キロ)、飯村さんが28日(同388キロ)、赤嶺さんが11日(同387キロ)だった。鹿野さんは「沖縄の現状を体で感じることができた。若者との出会いも大事にしたい」と笑顔を見せ、赤嶺さんは「毎年恒例にしたい」と充実感を漂わせた。飯村さんは「家に泊めてくれた人もいて、多くの出会いに感謝している」と振り返った。