自衛隊ヘリの事故救助実現せず 16年大宜味村要請 沖縄県「当時の説明は困難」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄県庁

 2016年6月に大宜味村のター滝上流であった滑落事故で、大宜味村が自衛隊ヘリコプターによる救助を県を通して求めたが何らかの理由で実現せず救助に長時間かかっていたことが7日、分かった。謝花喜一郎副知事は7日の県議会一般質問で、ヘリによる災害救助に関連し「災害防災ヘリの早期導入に向けて取り組んでいきたい」と答弁した。市町村との合意形成のため県側から出向いて理解を求める考えも示した。呉屋宏氏(沖縄・自民)への答弁。

 国頭地区行政事務組合消防本部の消防長だった大城邦彦氏(現村議)が当時まとめた資料にはヘリ出動がなく通報から救助完了までに約5時間かかったとある。大城氏は後に県から「災害派遣に該当しない」と説明を受けたという。県議会で質問を受けた金城賢知事公室長は「当時の状況について詳細の資料を持ち合わせておらず、お答えするのは困難」と述べるにとどめた。一般的に自衛隊の災害派遣には(1)緊急性(2)公共性(3)非代替性―の原則がある。当時、どの段階で該当しない判断が下されたかは不明。

 一方、消防防災ヘリの導入について謝花副知事は「当初の計画では17年度に41市町村の方向性をまとめ18年度には事業に着手する意気込みだったがまだ一部市町村の賛同が得られない部分がある」と明かした。費用負担などについて意見を調整しているとみられる。