沖縄関係7税制 本格議論は1年先送り


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 継続か、廃止か。2021年度で期限切れを迎えるのを前に、延長の可否が焦点となっていた沖縄関係7税制は、1年間の延長が正式に決まった。与党は運用実績がない一部業種を税制優遇措置の適用から除外したものの、大枠で県の要望に応えた形だ。ただ、1年後には、沖縄振興特別措置法(沖振法)と現行の沖縄振興計画が期限を迎える。次期振計の策定に合わせて本格的な議論が先送りにされた側面もあり、今後も現行制度が維持され続けるかは、なお不透明な状況だ。

 政府関係者によると、延長の議論は、自民党税制調査会(税調)の開始時から波風なく進んだ。与党内には新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化などの影響で財源が縮小する中、全税制で「整理・合理化」を進めるよう求める声もあったが、7税制が議論の対象になることはなかったという。

 ただ、こうした与党側の対応は、来年度に期限切れとなる振興計画を意識したものとみられる。振計の期限と見直しの時期を合わせることで、県や関係団体の反発や混乱を回避しようとの政府の思惑もちらつく。

 河野太郎沖縄担当相は、現行計画の検証と次期振計の策定について「データとエビデンス」を重視するという発言を繰り返す。

 今回の税制延長も、特別控除の対象事業から運用実績のない業種を外し、減税対象となるインフラ設備を絞り込む措置が取られた。

 県選出の与党議員は「本当の山場は1年後だ」と断言した。次期振計に向けた議論で、施策の実効性についてより厳しい検証が進むと予想される。
 (安里洋輔)