冷凍食品ニーズ急増 コロナ下、家で簡単調理 アンリッシュ食品工業


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
食品の鮮度を保つ「プロトン凍結機」を紹介するアンリッシュ食品工業の二宮大朗社長=10日、うるま市勝連

 新型コロナウイルスの影響で、家で簡単に調理できる冷凍食品が人気を集めている。うるま市で食品や冷凍機の製造・販売などを手掛けるアンリッシュ食品工業(二宮大朗社長)の冷凍食品を取り扱う店舗数が32店舗となり、前年4~11月と比べて8倍に急増している。

 同社は約50種類の冷凍食品を出荷しており、県産車エビなどを使った商品開発にも着手していく予定だ。

 同社は2015年にうるま市の国際物流拠点産業集積地域に進出し、食品製造事業や食品加工機器製造事業を中心に展開してきた。

アンリッシュ食品工業が製造・販売する冷凍食品や解凍した食品

 年間約200台の冷凍機を出荷しており、冷凍機の出荷台数は前年並みだが、冷凍食品需要が高まる中で買い手の決済が例年よりも早かったという。17年以降は毎年海外向けにも約10台の出荷があり、今年はコロナ下でもフランスやイスラエルなどへ輸出した。

 二宮社長は「新型コロナで消費者や小売業者の購買意識が変わった。家で食べやすいため、消費者の冷凍食品に対するニーズ増につながった。在庫の廃棄ロスのリスクが少なくなるため、小売業者の冷凍食品に対する需要も高くなった」と語り、冷凍食品市場がさらに拡大していく可能性を指摘した。

 一方で、今年4月から那覇空港を拠点に国際貨物を運ぶANAカーゴの運休により、アンリッシュ食品工業の冷凍食品輸出も止まった。新型コロナの影響で、結婚式場向けの食品出荷や会議弁当などの注文は前年から大幅減となった。

 それでも二宮社長は「準備しているEC販売を年明けから本格的にスタートさせる。今後はEC販売も強化していきたい」と、コロナに負けずに事業展開を継続する姿勢を見せた。